研究課題/領域番号 |
18J01392
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木戸 康平 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 運動 / 虚血再灌流 / 糖代謝 / 骨格筋 / AMPK / 血流 |
研究実績の概要 |
運動は、血管機能の改善やAMPK(細胞内エネルギーセンサー)の活性化等を介して糖代謝を亢進する。動物実験の結果より、四肢に対する短時間の虚血再灌流も、血管機能の改善やAMPKの活性化を引き起こすことが示唆されているため、虚血再灌流が運動と同様の糖代謝改善効果を生む可能性を秘めている。そこで、本研究では、四肢に対する虚血再灌流が、糖代謝に及ぼす効果とその作用機序の解明に取り組んでいる。 本年度は、まず若年健常者の下肢に対する虚血再灌流が、その後の血流と骨格筋内AMPK活性に与える影響を確認した。その結果、安静時における虚血再灌流の実施は、下肢の血流量を増加させたものの、骨格筋内のAMPKシグナルには影響を及ぼさなかった。本結果から、虚血再灌流単体の実施は、運動と比較して糖代謝を促進する効果が低い可能性が示唆された。 次に、若年健常者を対象に、虚血再灌流を運動中に施した際の、運動との相乗効果の有無を確認した。その結果、虚血再灌流は、運動による血流の増加及びAMPKシグナルの活性化を、相乗的に高めることが明らかになった。本結果は、虚血再灌流が、運動による糖代謝の亢進を強く促進する可能性を示唆している。 そこで、若年健常者を対象に、運動と虚血再灌流の併用が、骨格筋の糖代謝に与える影響を検討した。本実験は、現在進行中であるが、現在までに得られた結果から、虚血再灌流が運動による骨格筋の糖代謝の亢進を促進する傾向が観察されている。本結果は、四肢に対する虚血再灌流が、ヒトの血糖コントロール改善に有効である可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画当初から、本ヒト実験には、約1年半を費やす計画であった。そして、現在までにヒト実験がおおむね終了していることから、おおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在進行中のヒト実験を終え、採取した組織を解析することで虚血再灌流が細胞内の糖代謝制御因子に与える影響を確認する。また、遺伝子改変モデル動物も用いることで、本作用機序の解明に取り組む。
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