研究課題/領域番号 |
18J01831
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本多 俊介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | CMB偏光 / GroundBIRD / 高速回転スキャン / MKIDs / Bモード / Eモード |
研究実績の概要 |
今年度着任した時点では、GroundBIRD(GB)望遠鏡の最終評価試験を行なっている最中であったため、今年度前半は望遠鏡の開発に注力した。検出器の性能評価の解析コードの開発やデータ取得の運転に関わるとともに、以下の2つの性能評価を主に行なった。 - 望遠鏡に設置する光学フィルターの性能測定:東京大学IPMUに設置される光学測定装置を用いてGBの観測帯域を決定するフィルターの性能を評価した。GBではCMB観測のための145GHz帯域と前景放射評価のための220GHz帯域の2種類を同時観測する。それぞれの帯域では、3つのフィルターを組み合わせることで帯域の選別を実現するが、3フィルター全体の透過率を測定し、期待通りの性能が得られることを確認した。 - 望遠鏡全体の性能評価:望遠鏡系全体の評価のため、GBが設置されていた建物の水銀灯観測を行なった。水銀灯の形を詳細に捉えるため、望遠鏡の回転速度は2RPMに設定し、望遠鏡の仰角を変化させながら水銀灯を観測した時の検出器応答を測定した。望遠鏡仰角をある角度で固定すると1回転(30秒)に一度だけ望遠鏡の視野が水銀灯を通過し、その検出器応答を確認した。さらに、仰角を変化させながら検出器の信号強度を測定することで、望遠鏡から見える水銀灯の大きさを評価した。測定された水銀灯の大きさはおおよそ予想通りの結果を得ることを確認した。 今年度後半では、望遠鏡のスペインテネリフェ島への搬送の準備に携わった。特に現地でのインフラ設備の準備、作業場所の使用許可といった業務を現地の研究員や技師と議論しつつ行なった。今年度末には望遠鏡をはじめとしたほとんどの物品の搬送を終了し、来年度から現地での望遠鏡の構築・現地試験を経て、観測所でのファーストライトを達成する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はGroundBIRD実験の望遠鏡開発が終了していなかったため、今年度前半部では望遠鏡の最終全体性能評価を行なった。冷凍機の組立作業・冷却運転を始めとして、検出器の読み出し回路の最適化やノイズ測定などの幅広いトピックについて評価を進め、当初の予定以上に望遠鏡系の理解を深めることができた。それらの評価を通じて、最終的な望遠鏡系が期待通りの性能を持つことを確認した。今年度後半部では、望遠鏡の到着に先行して観測地に滞在し、望遠鏡のドームインストールの立会いやインフラの設営を中心に現地の研究員やエンジニアと議論を重ねた。電力やネットワークの設備、現地作業の安全管理など多くの問題が存在したものの、今年度中に全て解決の見通しを立てることに成功した。来年度からはいよいよ望遠鏡で空の観測を行い、研究計画に記述する検出器較正やデータ解析の研究に集中できると言える。 また、グループを代表して、これらの成果を日本物理学会で報告した他、GroundBIRD実験の進捗を日本全体のCMBミーティングで報告することで幅広い情報の共有も行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
望遠鏡搬入が完了したスペイン現地で望遠鏡の現地統合試験を行ったのち、標高2400mの観測サイトへの輸送を行う。月や偏光源となる星の観測を行い、望遠鏡の動作検証・ファーストライトを達成する。並行して検出器各所の詳細なコミッショニングとキャリブレーションを行い、観測に必要な要求感度を達成できるように評価を進めていく。特に、ワイヤーグリッドを用いたキャリブレーション も本年度中に試験運用を行い、CMB偏光観測と同時に偏光応答の較正が可能であることを実証する。 本年度後半では、望遠鏡系に由来する系統誤差の評価を行ない、偏光信号を入れないヌルテスト解析によって偏光信号にバイアスがないかを確認する。初の本格的な解析を始めるため、京都大学で大規模データの計算機の構築・解析を行いつつ、Eモードの偏光スペクトルの評価を中心に進めてCMB偏光観測の解析のフレームワークの構築を行う。
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