研究課題
本研究では、GroundBIRD望遠鏡を用いて宇宙初期に生成された宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光成分を精細に観測することによって、宇宙創成の解明に対する重要な知見をもたらすことが目的である。昨年度の観測地(スペイン テネリフェ島)でのインストール・初期観測を経て、本年度はCMB偏光の本格観測に向けて研究を推進した。特に、観測の核を担う超伝導検出器とそれに付随する読み出しDAQの開発を統括・主導した。DAQについては、本格観測に向けて十分なノイズ性能を達成しつつ、さらなる多ピクセルの読み出しに向けた発展的な研究まで踏み込んで開発を進めた。また、このDAQ系は実装のシンプルさから、GroundBIRDグループ外の超伝導検出器の研究開発を行うチームでも活用されている。検出器についても他の研究者と強く連携を図り、オランダのSRONと協力してGroundBIRDに搭載する素子作製プロジェクトを新たに立ち上げそれを主導した。検出器デザインや要求性能、望遠鏡の搭載に関する実装などで開発を進めるとともに、日本側での研究・議論を統括してオランダ側と共同で素子開発に取り組んだ。実際にGroundBIRD望遠鏡でのCMB観測までに至らなかったが、GroundBIRD初期観測に基づく実験感度を加味したシミュレーションを行い、QUIJOTE実験との統合解析によって本研究の題目にある「広天域・多帯域観測」での展望を示した。具体的には、大角度スケールの偏光(Eモード)から測定できる宇宙の再電離度パラメータについて、従来の観測実験と同等の感度が達成されることを確認した。前景放射成分を徹底的に抑制できる「広帯域・多帯域観測」によって、これまでにない高確度な結果を本研究で実現できる展望を得た。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. SPIE 11445, Ground-based and Airborne Telescopes VIII
巻: 11445 ページ: 114457Q
10.1117/12.2560918