研究実績の概要 |
ベアフットランニングはランニング中の下肢のダイナミクスを変化させ(Lieberman et al., 2010; Sinclair, 2014)、習慣的なベアフットランニングトレーニングを行うことでランニングパフォーマンスが向上することが報告されている(Tam et al., 2015; Warne and Warrington, 2014)。一方、ベアフットランナーではノーマルシューズ着用ランナーと比較してMedial tibial stress syndromeなどの下腿以遠の軟部組織の障害発生が多いと報告されており(Altman and Davis, 2016)、ベアフットランナーに対する障害予防が必要である。また、ノーマルシューズ着用ランナーでは、膝のランニング障害が多いとされるため、シューズの有無で必要となるケア方法が異なることが考えられる。的確な障害予防方法の立案のためには,ランニングによってどの筋に負荷がかかるかを明らかにすることが必要である。そこで、健常成人男性17名を対象とし、シューズ着用もしくは非着用の条件でトレッドミルランニングを45分間、最大下の運動強度で行い、ランニング前後に下肢筋の弾性率を測定した。その結果、後脛骨筋の弾性率は両群ともにランニング後に有意に高値を示した。外側広筋の弾性率はシューズ着用群においてランニング後に有意に高値を示した。腓骨筋群の弾性率はシューズ非着用群においてランニング後に有意に高値を示した。シューズ着用の有無にかかわらず、ランニングによって後脛骨筋が特にストレスを受け、シューズ着用の有無によってストレスを受ける筋が異なることが示唆された。本結果を第74回日本体力医学会学術集会にて発表を行った。また、本結果を論文化したものを国際誌に投稿中である。
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