本研究では、Linux サーバ上の仮想マシン(virtual machine)を用いて、プロセス移行方式を実装し、複数のサーバを用いて実験を行っている。また、他のサーバに移行するかしないかの判断は、現在のサーバと移行先のサーバでの消費電力量と実行時間の期待値に依存している。このため、電力消費モデルと計算モデルを基に、プロセスの移行時間を加えたときのサーバの消費電力量とプロセスの実行時間を予測するアルゴリズムについて研究を行った。 まず、クライアントのアプリケーションがプロセスpiをサーバクラスタに発行する。プロセス piを実行したとき、実行中のプロセスを含めた全プロセスを実行するために消費される総電力量の期待値が最も少ないサーバ stを選択する。選択されたサーバ st内で、実行されているプロセス数が最少の仮想マシン vmhで、プロセス piを実行する。ここで、ホストサーバ st内の仮想マシンで多くのプロセスが実行されているときは、新たに仮想マシン vmhを生成(create)するための動的移行(dynamic migration)アルゴリズムを新たに提案している。プロセスを実行しているとサーバで、予想されていた以上の電力量が消費されることがある。このために、各サーバ stを定期的にチェックする。サーバ st内の仮想マシンの複数のグループを、他のゲストサーバ suに移行させるDGM(Dynamic Group Migration)アルゴリズムを新たに提案している。 シミュレーションによる評価を行い、他のアルゴリズムと比較を行い、クラスタ内の全サーバで消費される総電力量[J]と各プロセスの平均実行時間[sec]を、DGMアルゴリズムにより減少できることを示している。
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