最終年度である令和元年度は、(1)培養に成功したARMAN(以後ARM-1株)の宿主範囲の調査、(2)ARM-1株のゲノム解析、(3)宿主(Metallosphaera sp. AS-7株)との共培養下におけるARM-1株の遺伝子発現解析を実施した。 (1)については、8属10種の好熱好酸性アーキアについて調査した結果、ARM-1株は少なくとも3属5種の好熱好酸性アーキアを利用して増殖可能なことが明らかとなった。(2)については、ARM-1株の完全ゲノムを決定することに成功し、代謝経路の推定、全ゲノムに基づく系統解析、ゲノム比較解析等を実施した。その結果、ARM1-株は0.81Mbpのゲノムを有し(GC含量:34.1%、タンパク質コード遺伝子数:849、rRNA遺伝子数:3、tRNA遺伝子数:46)、すでに報告されている他のARMANとよく似た遺伝子セットを持つことが明らかとなった(例:解糖系、塩基・アミノ酸・ビタミンの合成経路を持たないなど)。(3)については、RNASeq法を用いて共培養下におけるARM1株および宿種Metallosphaerasp.AS7株の遺伝子発現解析を行った。その結果、好熱性ARMANおよびその宿主の遺伝子発現プロファイルの一端が初めて明らかとなった。一方、遺伝子発現解析用ライブラリー作成時に十分な量のrRNAの除去ができなかった為、今後はrRNAを十分に除去する方法を検討していく必要がある。上記の本研究成果を国際学会で1回、国内学会で2回発表した。現在、これらの研究成果をまとめた論文を執筆中である。
|