研究課題/領域番号 |
18J10131
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
芳井 朝美 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 大環状芳香族分子 / 有機発光デバイス |
研究実績の概要 |
本研究は「特性調整部混合法の開拓による機能性大環状芳香族分子の設計合成」の題目のもと遂行された.大環状芳香族分子の構造とその特性についての新しい発見を求めて,機能探索・機能分子開発を行なった. 置換基を導入した大環状芳香族分子の合成・精製手法を確立した.これらの手法は,応用に向けて開発したものであり,大量合成も可能であった.単離した分子について,溶液・固体中の紫外可視吸収スペクトル,蛍光スペクトルやりん光スペクトルの光物性を分析した.また,単結晶X線構造解析によって,単分子構造や分子間相互作用を解析した.熱重量測定によって,高い熱安定性を有することを明らかにし,デバイス応用を問題なく行えることを確認した.合成した分子を用いて有機発光デバイスを作製し,その特性を評価した.参照分子となる置換基をもたない大環状芳香族分子を用いたデバイスを作製して比較することで,分子構造とデバイス特性の関係を詳細に解析した.これらのデバイス特性の要因について,光物性や単結晶X線構造解析による結果をもとに,分子特性の観点から理解を深めた.また,デバイス作製を行うことで,電荷輸送特性を解析し,その分子の電荷輸送能を明らかにした.以上の実験を通して,置換基を導入することによる物性とデバイス特性への影響,分子構造とデバイス特性の関係を明らかにすると共に,合成した大環状芳香族分子の特性を生かした機能性材料の開発を達成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自身の研究遂行には,新規の大環状芳香族分子をデバイス応用することが必要であるため,分子の大量合成・供給が基盤となる.これまでに開発した合成経路,自身がもつ知見をもとに精製方法を確立できたため,設計した分子の合成,分子供給を順調に行うことができた.また,応用に必要な物性評価の手法をすでに習得していたため,その単分子の物性評価もスムーズに行うことができた.これによって,各分子とその物性について網羅的に比較することができている.また,大量合成を達成しているため,デバイス構成を検討することができ,最適化したデバイスを作製した.分子供給に余裕がある場合には,研究深化のためのデバイスも作製しており,このような実験から重要な知見も見出されてきていると感じている.申請当時に研究遂行計画のとおり,新規分子の合成から応用まで順調に行うことができ,その分子構造とデバイス特性の結果との関係を解析できている.しかし,デバイス特性は分子構造と直結するわけでなく,分子と複雑に関係しているため,いまだ明らかになっていない点は残っている.今後,さらなる多様な分子の検討によって,現在わかっていない点を明らかにしていきたい. 進捗状況をみると,複雑に関係している分子構造とデバイス特性であるが,理解が深まっていると判断できる.実際に,1報の学術論文を発表するに至っている.以上の結果から,自身の研究について,おおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で述べたように,デバイス特性には分子構造と直結するわけでなく,分子と複雑に関係しているため,いまだ明らかになっていない点は残っている.今後,多様な新規分子の検討を行うことで,いまだわかっていない点を明らかにしていきたいと考えている. 大環状芳香族分子構造とそのデバイス特性との関係をあきらかにすることは,大環状芳香族分子の応用において重要な知見となると期待している.また,関係をあきらかにするなかで,より高効率な有機発行デバイスの作成が可能となると考えている.これは,これまでのデバイス開発とは異なる経路からのアプローチであることから,常識にとらわれない材料が開発できると期待している.これらを達成するために,例えば,異なる置換基を有する大環状芳香族分子や,基本骨格が異なる大環状芳香族分子の合成を予定している.合成する際には,新たな合成手法,精製方法が必要となるが,これまでに確立した方法を踏襲することで迅速に確立できると考えている.合成を可能にすれば,物性調査・デバイス作製は既存の手法でできるため,問題なく研究が推進されると判断している.また,他のデバイス材料としても応用を試みたい.これらの応用のなかには,有機発光デバイスの作製手法を踏襲できるものもあるため,問題なく展開できると考えている.以上の推進方策によって,研究を発展し,得られた成果については,論文発表・学会発表を通して他の研究者へ発信したい.
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