研究課題
本研究課題では、植物の成長を促進する機能を持つ細菌、PGPB(Plant Growth-Promoting Bacteria)をウキクサ科植物に定着させることで、本植物によるバイオマス生産、水質浄化の効率を高めることを目的として行った。前年度、ランダムな遺伝子破壊と次世代シーケンス解析に基づく手法により、PGPBであるAquitalea magnusonii H3がコウキクサに付着する際に重要な役割を果たす遺伝子の推定を行った。本年度は、この解析結果を統計解析や基地の遺伝子との相同性解析に供すことで生物学的な解釈を行った。その結果、細胞外多糖の構造やIV型繊毛といった細胞外構造に加え、鞭毛運動、グルタミン代謝系、c-di-GMPシグナル伝達系といった機能に関する遺伝子がコウキクサへの付着に重要な役割を果たすことが示された。また、各種炭素源の資化や酸化的リン酸化経路に関する遺伝子にも強い関与が認められ、植物から分泌される炭素源を効率的に利用することの必要性も支持される結果となった。また、特に重要と考えられた6種類の遺伝子について個別に破壊株を作成し、野生株との競争条件においてコウキクサへの付着量を評価した。その結果、いずれの遺伝子についても野生株より有意に付着能力に優れる/劣ることが確認され、前年度における解析結果の妥当性が示された。一方、前年度の解析においては走化性の関与は認められなかったが、H3株の持つ4つの走化性関連遺伝子クラスターを全て破壊した破壊株の挙動を調べたところ、実際には走化性も本菌株によるコウキクサへの付着に重大な関与を示すことが明らかとなった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemosphere
巻: 238 ページ: 124682~124682
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Biocatalysis and Agricultural Biotechnology
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