研究課題/領域番号 |
18J10212
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 進 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 両面市場 / フリーミアム / 代理店モデル / カルテル / 混合寡占 / 民営化 / 最適規制 |
研究実績の概要 |
本年度は、(1)プラットフォームの企業戦略、競争政策に関する研究、(2)混合寡占市場における公企業の民営化政策の研究、および(3)独占規制政策の研究で進展があった。(1)に関しては、(1)ーA広告プラットフォームによる最適メニュー価格設定の理論研究において、広告収益型の無料サービスと広告なし有料サービスの2つのみを提供する「フリーミアム」というビジネスモデルが一定の弱い条件下で最適となることを示した。次に、(1)ーB流通プラットフォーム上の販売者間のカルテル(上流カルテル)の安定性に関して、販売者が直接小売価格を設定する代理店モデルとプラットフォームが小売価格を設定する卸モデルとの間での比較を行ない、複数のプラットフォームが競争している場合には、代理店モデルが上流カルテルを促進するという結果を得た。(1)ーBの結果はDPとして公開されている。(2)の混合寡占における民営化政策に関しては、政府が公企業を複数回に渡って民営化する場合の均衡民営化水準の推移に関して、企業の自由参入がある場合には企業参入前の民営化が企業参入後の民営化を最適な水準に調整する機能があるということを示した。(3)の独占規制政策に関しては、電力市場における分散電源のように、消費者が独占企業からの需要を減少させる投資が行える場合の最適独占規制の性質を分析し、非対称情報がある場合、消費者による需要削減投資を緩和させるために、効率的な企業の規制価格を低下させた方が望ましくなる結果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績概要における(1)-Aの結果は査読誌International Journal of Industrial Organizationに掲載され、(1)-Bの結果はディスカッションペーパーとして公開されている。(2)の結果はディスカッションペーパーとして公開されている。また、(3)の結果は査読誌Economics Lettersに掲載されている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、プラットフォームの企業戦略、競争政策、混合寡占市場における公企業の民営化政策、独占企業の規制政策に関する理論的研究を行う。現時点でディスカッションペーパーになっているものは報告・投稿・改訂を通じて査読誌掲載を目指す。現在進行中の研究に関しては、論文化を進め、報告・投稿・改訂を通じて査読誌掲載を目指す。また、これから新たに始める研究に関しては、完成、論文化を目指し、報告・投稿・改訂を通じて査読誌掲載を目指す。
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