本研究の目的は格子模型において実現する超対称性をもつ模型について、具体的な模型を導入し、超対称性の破れの観点からその性質を調べ、これまで研究してきた格子模型の性質と比較検討し、ボソン系で調べられている自発的対称性の破れに関する分類の理論をフェルミオン的な対称性である超対称性の自発的な破れに拡張することを目指すものである。具体的には報告者が研究した N = 2 の超対称性を持つ拡張ニコライ模型を Majorana fermion 演算子を導入して拡張することで N = 1 の超対称性を持つ模型を構築し、その性質を調べた。この模型はパラメータを持っており、このパラメータによって超対称性が破れていない模型と超対称性が自発的に破れた模型とがつながっている。 前年に研究した Majorana Nicolai 模型に用いた解析手法をこの模型にも適用することで、あるパラメータの値では、相互作用があるにも関わらず基底状態を厳密に求めることができ、これによって有限系と無限系において超対称性が破れないことが確かめられた。さらに、不等式を用いた解析によってあるパラメータ領域で超対称性が自発的に破れ、それに伴い南部-ゴールドストーンモードが現れることを確かめることができた。 数値計算によって、この南部・ゴールドストーンモードが線形分散を持つことや、c = 1 / 2 の共形場理論で記述できることを示すことができた。一方で、この模型においては超対称性の破れに関して、無限系で相転移が起こることが期待できるが、十分な計算を行うことができず論文などの形で結果をまとめることができなかった。
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