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2019 年度 実績報告書

回転ブラックホール近傍における高エネルギー粒子衝突とエネルギー引き抜き過程

研究課題

研究課題/領域番号 18J10275
研究機関京都大学

研究代表者

小笠原 康太  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2020-03-31
キーワード一般相対性理論 / ブラックホール
研究実績の概要

年次計画2年目の「高エネルギー粒子の脱出確率及び観測への示唆」の研究に取り組んだ.本年度中に電磁波観測によって,ブラックホールの作る影(シャドウ)の撮像が初成功したこともあり,当初の計画に加えて,より実際の観測を意識した解析も行った.
以前,Kerr時空の赤道面内に限定した脱出確率の評価手法を発展させ,空間3次元的な粒子の脱出確率の解析を行った.状況設定としては,(i)数理的な側面に着目した,Kerr-Newman時空での解析,(ii)宇宙物理学的に(実際の観測に)重要となる,最内接安定円軌道(ISCO)からの脱出,の2通りの解析を行った.
(i)Kerr-Newman時空は,質量・角運動量(スピン)・電荷の3つのパラメータをもつブラックホール時空であり,スピンと電荷にはある上限値が存在する.我々は脱出確率に対するこれら2つのパラメータ依存性を解析し,時空が臨界(extremal)かつ規格化されたスピンが1/2以上の場合,地平面のごく近傍からでも約30%の確率で粒子が脱出できることを明らかにした.また,スピンの増加に伴い確率も増加することがわかった.(ii)のISCO軌道からの脱出も同様に,スピンの増加に伴い確率が増加することが示された.宇宙物理学的なブラックホールのスピンには,0.998という理論的上限値が存在し,この上限値での脱出確率は約59%であった.さらに脱出光の赤方偏移を解析したところ,ISCO軌道から前方に放射された光は,遠方で青方偏移していることが明らかになった.これは,ISCO軌道にある光源のドップラー効果,いわゆる相対論的ビーミング効果であり,高い脱出確率とビーミング効果の関連性を明らかにした結果となった.これらの結果は,仮にブラックホール近傍からの情報を得られたとすると,そのブラックホールは非常に高速回転している可能性が高いことを示している.

現在までの達成度 (段落)

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Escape probability of a photon emitted near the black hole horizon2020

    • 著者名/発表者名
      Kota Ogasawara, Takahisa Igata, Tomohiro Harada, and Umpei Miyamoto
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 101 ページ: -

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.101.044023

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Observability of the innermost stable circular orbit in a near-extremal Kerr black hole2020

    • 著者名/発表者名
      Takahisa Igata, Keisuke Nakashi, and Kota Ogasawara
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 101 ページ: -

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.101.044044

    • 査読あり
  • [学会発表] 地平面近傍からの光の脱出確率2020

    • 著者名/発表者名
      小笠原康太,伊形尚久,原田知広,宮本雲平
    • 学会等名
      日本物理学会第75回年次大会
  • [学会発表] 重力レンズにおける宇宙項の影響2019

    • 著者名/発表者名
      小笠原康太,山田慧生
    • 学会等名
      日本物理学会2019年秋季大会
  • [学会発表] Escape probability of a photon emitted near the black hole horizon2019

    • 著者名/発表者名
      Kota Ogasawara
    • 学会等名
      The 29th Workshop on General Relativity and Gravitation in Japan
    • 国際学会
  • [学会発表] シェル衝突 in 5D2019

    • 著者名/発表者名
      小笠原康太
    • 学会等名
      第21回特異点研究会

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公開日: 2021-01-27  

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