本研究では、環状ニッケル錯体を鍵中間体とする不飽和成分の四成分四量化反応において、フッ素化学産業の基幹原料であるテトラフルオロエチレンから有用な含フッ素化合物を合成することのできる手法の開発を目的としている。これまでニッケル触媒を用いたテトラフルオロエチレンと不飽和成分との共三量化反応と三成分四量化反応の開発に取り組んできた。本年度は、ニッケル触媒を用いたTFE、エチレン、アルキン、およびアルデヒドとの四成分四量化反応の開発を行った。今回開発した反応は、テトラフルオロエチレンのみならずヘキサフルオロプロピレンにも適用することができる。本反応では考えられる生成物が四の四乗以上存在するにも関わらず一種類の生成物を高選択的に与えることができるため、この知見は学術的に興味深いと考えている。また、反応中間体である環状ニッケル錯体を単離し、単結晶X線構造解析によってその構造を明らかにするとともに、それらを用いた量論反応によって反応機構に関する知見を得た。最後に、本研究に関する論文投稿を行い、化学系最高峰のJ. Am. Chem. Soc.誌に掲載された。
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