研究実績の概要 |
本研究は,土木工学・医学・惑星科学などの専門分野へのAI技術の実用化に向けて,専門家から経験や知識を抽出することで, 専門家に近い判断が可能な画像分類技術を構築することを目的としている.平成30年度は,以下に示す2点の研究を行った. 1.専門家の注視領域に基づく画像特徴 (視線特徴) の算出 画像中の物体に関する特徴(画像特徴)と, 人間が画像を注視している際の視線情報を用いて, 注視領域に基づいた視線特徴の算出を可能とする理論を構築した. 具体的に, 実験協力者に画像を注視してもらい, 視線の停留と動き方から注視領域を推定し, 当該領域から得られる特徴を視線特徴として算出した.また, 画像特徴と視線特徴間の関係を学習させることで, 注目領域が未知であるテストデータが入力された際に, 人間が注目すると考えられる領域を自動推定する技術も同時に構築した.さらに, 専門家の注視領域のみならず, 画像注視中の人間の脳から得られる情報を用いた画像分類手法を構築した. 本手法では, functional Near-Infrared Spectroscopy (fNIRS) を用いて脳の情報を取得し, 土木分野で用いられる画像を用いた分類の高精度化を実現した. 2.画像特徴から視線特徴を推定するための射影行列の算出 画像特徴から視線特徴を推定するための射影行列を算出可能とする理論を構築した. 具体的に, 異なる種類の特徴の相関関係を分析することで, それらの特徴間を関連付ける射影行列の導出を可能とした.さらに, 上記の手法で構築した理論を画像特徴と視線特徴に応用することで, 画像特徴から視線特徴を関連付ける射影行列の導出を可能とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度は,年次計画に示される「専門家の注視領域に基づく画像特徴 (視線特徴) の算出」と「画像特徴から視線特徴を推定するための射影行列の算出」に関する研究を行った.研究成果が認められ, 査読付き論文誌や国際会議に受理され,また,学会から表彰されていることから, 期待以上に研究が進展していると判断できる. また, 札幌駅地下歩行空間において, 一般市民を対象としたデモ展示を行うなど, アウトリーチ活動も積極的に実施した.
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