2019年度は、研究の目的に述べた「研究目的:フェーズ2」を達成するために、以下の二点の研究を実施した。ただし、以下の研究を遂行するために、2018年度までに導出した異種特徴間の相関関係を考慮可能な射影行列を用いた。 実施計画1:画像分類において専門家が判断時に基準とする情報を基準特徴として算出した。具体的に、各専門分野において定められているガイドライン等にのっとり、判断基準を記録した。その後、それらの判断基準が専門家の判断時にどの程度貢献するかを調査することで、基準特徴の算出を可能とした。 実施計画2:算出した基準特徴と教師ラベルを学習するための深層学習手法を構築した。専門家は判断基準に基づき結果を得ることから、基準特徴を中間層へ、教師ラベルを出力層へ挿入し学習を行うことで、重み行列を推定した。これにより、画像を入力した際に、専門家の判断基準を推定しながら、判定結果を出力可能な深層学習手法の構築が可能なった。上記研究により構築した手法は以下の二点のメリットを有している。 1.専門家の判断基準を学習することで、機械が専門家の判断基準に即した結果を導くことができる点。 2.新しい画像が入力された際、その都度視線情報・基準特徴を取得することなく、学習で求めた射影行列・中間層の重み行列を用いることで最終結果を取得可能な点。 上述の研究によって得られた結果を信号処理・画像処理系の国内会議・国際会議において発表を行い、加えて、学会発表で得られた知見に基づき、手法を高度化することにより、学術論文誌にも採録された。
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