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2018 年度 実績報告書

カオスニューラルネットワークを用いたグラフ的シュタイナー木問題の解法

研究課題

研究課題/領域番号 18J10671
研究機関東京理科大学

研究代表者

藤田 実沙  東京理科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2020-03-31
キーワードカオス / ニューラルネットワーク / タブーサーチ / 組合せ最適化 / グラフ的シュタイナー木問題
研究実績の概要

グラフ的シュタイナー木問題は,頂点と辺からなる無向グラフと,辺の重み関数,頂点の部分集合からなる必須点集合が与えられたとき,全ての必須点を連結する木のうち,木に含まれる辺の重みの和が最小なものを求める組合せ最適化問題である.この問題は電子回路の自動実装や,省エネルギーな通信網・電力網の設計などへの応用が期待されている重要な問題である.この問題はNP困難であるため,より早くより良い解を求める近似解法について盛んに研究されている.
本研究の目的は,グラフ的シュタイナー木問題に対する効率的な近似解法を開発することである.カオスニューラルネットワークは,巡回セールスマン問題などのNP困難な組合せ最適化問題に対して効率的な解探索を実現できる.そのため,同じNP困難な組合せ最適化問題であるグラフ的シュタイナー木問題に対しても効率的な解探索を実現できることが期待される.
これまでにカオスニューラルネットワークが適用されてきた組合せ最適化問題はどれも,局所探索法が実行可能解のみを生成する問題であった.しかし,グラフ的シュタイナー木問題に対する局所探索法は,実行可能解だけでなく実行不可能解も生成する.これにより,実行不可能解に対応したニューロンをどのように処理するかという問題が生じる.本研究では,実行不可能解に対応したニューロンを一次的にニューラルネットワークから外すことでこの問題点を解決した.
本年度は,グラフ的シュタイナー木問題に対する提案手法の性能を評価した.数値実験の結果,提案手法はタブーサーチよりも良い性能を示すことを確認した.特に,探索過程における良い解の発見回数は提案手法のほうがタブーサーチよりも数倍多かった.解の精度の保証ができない発見的解法において,良い解を頻繁に発見できるということは,良い解を安定して供給できるということであり,非常に重要な点である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,当初の予定通り,カオス探索の時系列の解析とタブー探索との性能比較を行なった.比較の結果から,カオス探索がタブー探索よりも良い性能を示すこと,およびカオス探索がタブー探索よりも良い解を頻繁に発見していることという新規性のある発見ができたため.

今後の研究の推進方策

カオス探索がタブー探索よりも良い解を頻繁に発見できるということは分かったが,この仕組みについてはまだ分かっていない.カオス探索の発火の様子を確認したところ,カオス探索ではときどきニューロンの発火が同期し,それによって解の構造が大きく変わっていることが分かっている.そこで今後は,良い解探索には「解の構造が大きく変わること」が重要であるのか,「解の構造が大きく変わるタイミング」が重要であるのかを明らかにする予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] グラフ的シュタイナー木問題に対するタブーサーチとカオスサーチの探索の多様性について2019

    • 著者名/発表者名
      藤田実沙, 木村貴幸, 池口徹
    • 学会等名
      電子情報通信学会 2019年 総合大会
  • [学会発表] グラフ的シュタイナー木問題に対する複数の最短経路を使用した局所探索法2018

    • 著者名/発表者名
      藤田実沙, 木村貴幸, 池口徹
    • 学会等名
      2018年 電子情報通信学会 NOLTAソサイエティ大会
  • [学会発表] Solving the Steiner Tree Problem in Graphs Using the Key-Path Based Neighborhood with the kth Shortest Path2018

    • 著者名/発表者名
      Misa Fujita, Takayuki Kimura, Kantaro Fujiwara and Tohru Ikeguchi
    • 学会等名
      The 2018 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications (NOLTA 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] 異なる不応性を有するニューラルネットワークによるグラフ的シュタイナー木問題の解探索性能の比較2018

    • 著者名/発表者名
      藤田実沙, 木村貴幸, 池口徹
    • 学会等名
      電子情報通信学会 非線形問題研究会
  • [備考] 池口研究室

    • URL

      http://www.hisenkei.net

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公開日: 2019-12-27  

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