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2018 年度 実績報告書

ダイヤモンド量子センシングを用いたアクチンストレスファイバーの伸縮動態解析

研究課題

研究課題/領域番号 18J10796
研究機関京都大学

研究代表者

源城 拓哉  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2020-03-31
キーワードアクチンストレスファイバー / ナノダイヤモンド / カルシウムイオン
研究実績の概要

本研究では、蛍光プローブであるナノダイヤモンドを用いて、細胞骨格の一つであるアクチンストレスファイバーの伸縮動態の理解を目指す。アクチンストレスファイバーの伸縮は、細胞の形状維持や調節に関わるといった生命維持活動に深く関連する重要な生命現象である。しかし、この数百nmのファイバー上で収縮時に発生する三次元の構造変化を検出するのは困難であった。そこで、本研究では、ナノダイヤモンドを基盤とした細胞内において長時間かつ微細な三次元構造変化を検出できる新たな手法を開発することにより、伸縮の検出とそれを引き起こす原因、および伸縮の発生に伴う周囲への影響を明らかにすることを試みる。ファイバーの動態を計測するためにはまず、ナノダイヤモンドをファイバーに標識する必要があった。そこで、ナノダイヤモンドの表面修飾、細胞内への導入方法、標識の確認方法を検討した。その結果、ファイバーに標識したナノダイヤモンドから、ファイバーの平面上での動き、および回転変化を検出することに成功した。次に、これらの動態の原因として考えられているカルシウムイオンの濃度変化を検出するための装置を組み立てた。カルシウムイオンの検出は、それと結合することによって蛍光を発する分子を用いた。測定装置のハードウェアとソフトウェアの両面から正常に作動することを確認した。実際にこの装置を用いて、細胞内におけるカルシウムイオン濃度変化を検出することに成功している。今後、ナノダイヤモンドによる計測とカルシウムイオンの濃度変化計測を同時に行うことで、ファイバー伸縮動態の理解に貢献する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一年目終了時までの研究予定は、(1)ナノダイヤモンドの蛍光強度変化を角度変化情報に変換する、(2)ナノダイヤモンド標識によるアクチンフィラメント構造に対する影響を評価する、(3)アクチンストレスファイバー伸縮とカルシウムイオン濃度変化の同時観測することであった。
(1)ナノダイヤモンドを標識したアクチンストレスファイバーの平面上の動きを計測することによって動態変化のタイムスケール情報を得た。これを基に回転変化の適切な計測手法を設定し実行した結果、アクチンストレスファイバーの回転変化を検出することができた。
(2)アクチンストレスファイバーを標識するためにナノダイヤモンド表面にアクチンモノマーを修飾した。このモノマーは細胞内でアクチンストレスファイバーに取り込まれることが想定された。修飾がモノマーの重合能力に影響を与えるか評価すべく細胞外で検証を行った。その結果、修飾された場合でも十分に重合可能であることがわかった。
(3)細胞内にてカルシウムイオンを計測するための装置を組み立てた。これを用いて、細胞内にてカルシウムイオンが増減する様子を観測することに成功した。ナノダイヤモンドとの同時計測については今後行う予定にしている。
以上のことから、目標の1つ目と2つ目に到達し、3つ目においては主要部分を終えたと考えられるため、おおむね順調に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

研究計画書で示した研究目標に大きな変更はないため、目標を順に達成するよう試みる。二年目の研究では細胞内のカルシウムイオン濃度変化とアクチンストレスファイバーの構造変化を同時に計測することでその関係を明らかにすることから始める。その後、カルシウムイオンの流入経路を特定すること、またアクチンストレスファイバーの構造変化が周囲の構造に影響を与えることを確認する。一方で、初年度における研究成果を順次まとめていき、学会や論文等で報告できるよう準備を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ダイヤモンド量子センサを用いた生体分子の定量的動態計測2019

    • 著者名/発表者名
      源城拓哉、五十嵐龍治、白川昌宏
    • 学会等名
      定量生物学の会第九回年会
  • [学会発表] ダイヤモンド量子センサーを用いたアクチン細胞骨格のin vitro動態計測2018

    • 著者名/発表者名
      源城拓哉、五十嵐龍治、藤原郁子、原田慶恵、白川昌宏
    • 学会等名
      量子生命科学研究会第2回学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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