研究課題/領域番号 |
18J10805
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高田 崚介 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | データグローブ / 導電繊維 / ウェアラブル / センサレス / ハンドセンシング |
研究実績の概要 |
導電性繊維が編み込まれた衣類(主に手袋)の形状変化に伴う導電経路の変化を計測することにより指の曲げや指同士の接触といった手形状認識ならびに把持物体認識手法の研究を推進した. 具体的には,(1)手袋の導電経路の変化に基づく指の曲げ,開き,指同士の接触ならびにその接触位置といった手形状認識手法ならびに把持物体認識手法(Grov)および,(2)本手法を用いたアプリケーションの模索ならびに構築を行った. (1)の研究について,既存の手袋型形状認識用デバイス(データグローブ)は複数のセンサを手袋上に搭載するため,手袋の柔軟性を損ない,壊れやすく,洗濯ができず,コストが高く,重くなるといった点が問題となっていた.これに対し,本研究では手袋に編み込まれた導電性繊維をセンサの一部として利用したセンサレスなデータグローブを構築することにより解決する.また,従来技術では指の曲げならびに指同士の接触を同時に認識することは難しく,本技術によってそれを可能とする.さらに本技術は把持物体を認識可能にした.開発した技術の認識精度について評価し,さらに装着した時の煩わしさを軽減するためにより小型な回路の構築を行った. (2)について,本技術が従来技術に比べて認識できることが増えたため従来には無かったアプリケーションへの利用が見込まれる.そのため本技術を様々な展示会や会議にて発表し企業や大学との実応用例について議論を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究について,評価実験により高い有用性を確認している.また,実装および評価内容をまとめた研究成果を以下の国内の学会(インタラクション2019)にてデモ発表し,国際的なトップカンファレンスであるCHI2019(Conference on Human Factors in Computing Systems))にデモ採択され発表予定である.さらに論文誌(日本ソフトウェア科学会論文誌,コンピュータソフトウェア)にも採択されている. また,コンピュータエンタテイメント系で大規模であるCEDEC2018(Computer Entertainment Developers Conference)に採択され,デモ発表の成果が認められインタラクティブ賞を受賞しTGS2018(Tokyo Game Show)にて招待デモ発表を行った.その結果,様々な企業と交流し本研究の実利用について議論を行うことができた. これらのことから,対外的にも高い評価を得ている研究成果であるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本技術を手袋のみではなく,靴下や他の衣類と組み合わせることにより,より幅広いアプリケーションの模索を行う予定である.また,回路および組み込みプログラムの改良を行い認識精度を向上させる.把持物体認識についても,現在は手袋と物体を2点接触させる必要があるが,1点のみ接触することで認識する手法を開発する.
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