研究課題/領域番号 |
18J11176
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坪井 大和 神戸大学, 保健学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 腰痛 / モバイルヘルス |
研究実績の概要 |
本研究は腰痛セルフマネジメントに特化したモバイルヘルスの開発と効果検証を目的とした研究であり、平成30年度においては、本実験前の足がかりとして、モバイルヘルスの改良開発やサンプルサイズの見積もりのためにプレ実験を実施した。 平成30年度に実施した具体的な内容としては、① 研究計画の立案、② 倫理委員会・UMINへの臨床試験登録、③ 研究フィールドの獲得および研究協力者のリクルート、④ 介入実施、⑤ ベースライン評価・中間評価(介入開始3ヶ月時)、⑥ ベースライン~中間評価の中間解析、⑦ 中間解析結果の国際学会への演題登録、⑧ プレ実験の論文執筆、⑨ モバイルヘルスの改良開発、⑩ 本試験実施先フィールドとの協議である。 介入後3ヶ月時点における中間解析の結果、コントロール群と比較して、介入群(モバイルヘルス群)は有意に腰痛の程度に改善が見られた。しかしながら、セカンダリーアウトカムである労働生産性などに関しては、有意な改善効果は観察されなかった。本中間解析結果は、平成31年度に開催予定の欧州疼痛学会に採択され、演題発表をする予定であり、様々なディスカッションができると考えている。 今回の結果は、プレ実験での中間解析における結果である。プレ実験において生じたアプリや研究デザインの課題を改善した上で、今後の研究計画においては、6ヶ月時点での最終フォローアップにおける効果検証により、長期効果やセカンダリーアウトカムへの影響を検討する。また、本実験での効果検証を行うことで、プレ実験の結果をより頑健性の高い形で提示していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①~③に関しては、複数のステークホルダーとの連携を密に取りながら、事前準備を徹底した。その結果、概ね予定通りに研究計画を進めることができた。20名の介護職から研究参加の同意が得られ、予定通りのサンプル数を集めることができた。しかしながら、ベースライン調査中に1名が離職を理由にドロップアウトした。④に関して、3ヶ月の中間評価時点で、19名中の1名ドロップアウトとなったが、⑤に関して、アンケート回収率はドロップアウトを除いて100%となった。 ⑥, ⑦に関しては、中間評価のデータ解析を実施した。結果、コントロール群と比較して、介入群(モバイルヘルス群)は有意に腰痛の程度に改善が見られた(β [95%CI] = -1.35 [-2.27 to -0.43])。しかしながら、セカンダリーアウトカムに関しては、有意な効果は観察されなかった。本解析結果は、平成31年度に開催予定の欧州疼痛学会にて発表予定である(採否済み)。⑧に関して、プレ実験が5月に終了後、国際誌に投稿予定であり、論文執筆を進めている。 ⑨に関しては、株式会社バックテックとの議論の上、ユーザビリティ向上や、痛み記録の項目の精査、活動記録のリマインド頻度の調整機能などの機能改善を実施した。合わせて、セラピスト向けのサポートガイドラインの変更も随時行っていった。 ⑩に関して、研究実施先フィールドとの協議を行っている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後に関しては、プレ実験終了後、サンプルサイズを積算し、本試験に実施に移っていく計画である。本試験はより大きなサンプルサイズで実施することから、研究開始にいたるまでにリードタイムがかかることが想定される。研究開始がスムーズに進行するように、意思決定者を含めた上での会議をするようにする。また、サンプルサイズが多くなる分、多くの対象者に参加してもらうために、興味をもってもらいやすいようなマーケティングの手法を考慮した上で、リクルートを実施する。
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