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2018 年度 実績報告書

球周り流れの数値的・実験的研究に基づく圧縮性混相流モデルの構築と微粒子の影響解明

研究課題

研究課題/領域番号 18J11205
研究機関東北大学

研究代表者

永田 貴之  東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2020-03-31
キーワード球周り流れ / 圧縮性流れ / 低Reynolds数流れ / 直接数値解析 / 圧縮性混相流 / 衝撃波管 / 弾道飛行試験
研究実績の概要

圧縮性Navier-Stokes方程式の直接数値解析と弾道飛行装置による弾道飛行試験,及び衝撃波管を用いた球-平面衝撃波干渉実験により,圧縮性低Reynolds数における球周り流れの特性を調べた.
直接数値解析による研究では,主流に対して垂直方向に回転軸を持つ回転球周りの流れについて,Reynolds数100-300, Mach数0.2-2.0, 無次元回転速度0-1.0の条件で,渦構造や空力係数,壁面応力を調べた.回転による揚力は,Mach数の増加により抑制されることを明らかにし,非圧縮性の混相流では粒子の回転による揚力が粒子クラスタの分散を促進するのに対して,圧縮性流れでは粒子クラスタが維持されやすく高密度の粒子クラスタが形成される可能性を示唆した.
バリスティックレンジを用いた弾道飛行実験では,Reynolds数3.8 × 10^3-1.0 × 10^5, Mach数0.9-1.5の条件で自由飛行する球周りの流れをシュリーレン法により可視化し,後流渦の構造や再循環領域の長さ,衝撃波離脱距離を調べた.この試験で得られた時間平均場とReynolds数1000以下のDNSのデータから,Reynolds数1,000-3,000付近に再循環領域長さの変曲点の存在を示し,その条件で流れの様相が大きく変化する可能性を示唆した.また,可視化画像に対して特異値分解を応用し,ノイズが強く不鮮明な画像から流れ場のモードを抽出することに成功した.加えて,より低Reynolds数で試験を行うために衝撃波管による球-平面衝撃波干渉実験の実験系確立とそれを用いた流れの可視化,抵抗係数推定を行った.弾道飛行試験と異なり,光学ガラス上の境界層のパターンにより特に球が小さい場合に球後流の可視化が困難なことが分かったが,断層シュリーレン法を用て解決可能と考えている.抵抗係数は問題なく取得できており,継続して実験を行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

弾道飛行装置による実験は予定通り進展し,成果を学術誌に投稿・査読中である.加えて,衝撃波管を用いた球-衝撃波干渉実験により弾道飛行試験よりもさらにReynolds数を下げた実験も行った.
一方,直接数値解析による研究では,高温・低温球周り流れの解析,回転球周りの解析を行いその成果は学術雑誌に掲載済みだが,今年度行う予定だった剪断流中の球周り流れの解析については数値振動などの問題と計算リソースの問題から計算の開始が年度末までずれ込んだ.また,弾道飛行装置や衝撃波管を用いた実験に想定以上に時間を消費したため,DNSデータベースを用いた熱伝達モデルの構築には至っていない.粒子抵抗モデルに関しては既存のモデルを改良したモデルを構築している段階にある.

今後の研究の推進方策

実施が遅れた剪断流中の球周り流れの解析を極力早い段階で完了し,DNSデータベースを用いて粒子の挙動を記述するモデルを構築する.構築したモデルを用いた混相流解析の実施は計算時間の観点から難しいため,既存のモデルと性質を比較することによって新たに構築したモデルの性質を検討する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Direct numerical simulation of flow around a heated/cooled isolated sphere up to a Reynolds number of 300 under subsonic to supersonic conditions2018

    • 著者名/発表者名
      Nagata Takayuki、Nonomura Taku、Takahashi Shun、Mizuno Yusuke、Fukuda Kota
    • 雑誌名

      International Journal of Heat and Mass Transfer

      巻: 120 ページ: 284~299

    • DOI

      10.1016/j.ijheatmasstransfer.2017.12.042

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Direct numerical simulation of flow past a transversely rotating sphere up to a Reynolds number of 300 in compressible flow2018

    • 著者名/発表者名
      Nagata T.、Nonomura T.、Takahashi S.、Mizuno Y.、Fukuda K.
    • 雑誌名

      Journal of Fluid Mechanics

      巻: 857 ページ: 878~906

    • DOI

      10.1017/jfm.2018.756

    • 査読あり
  • [学会発表] Schlieren visualization of transonic and supersonic flow over a sphere at Reynolds number between 10^3 and 10^5 through free-flight tests2019

    • 著者名/発表者名
      Nagata, T., Noguchi, A., Nonomura, T., Ogawa, T., Ohtani, K., and Asai, K.
    • 学会等名
      57th AIAA Aerospace Sciences Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 自由落下する小球と垂直衝撃波の干渉のシュリーレン可視化および球の抵抗係数の推定2019

    • 著者名/発表者名
      永田貴之,野々村拓,大谷清伸,浅井圭介
    • 学会等名
      平成30年度衝撃波シンポジウム
  • [学会発表] バリスティックレンジによるReynolds数10^3-10^4オーダーの超音速球周り流れのシュリーレン可視化2018

    • 著者名/発表者名
      永田貴之,野口暁人,小川俊広,野々村拓,大谷清伸,浅井圭介
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2018
  • [学会発表] 直接数値解析データベースを用いた粒子Reynolds数50-1000の圧縮性流れにおける微小粒子の空力係数および後流渦の解析2018

    • 著者名/発表者名
      永田貴之,野々村拓,吉田真優,高橋俊,福田紘大
    • 学会等名
      第32回数値流体力学シンポジウム

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公開日: 2019-12-27  

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