研究実績の概要 |
圧縮性Navier-Stokes方程式の直接数値解析と弾道飛行装置による弾道飛行試験,及び衝撃波管を用いた球-平面衝撃波干渉実験により,圧縮性低Reynolds数における球周り流れの特性を調べた. 直接数値解析による研究では,主流に対して垂直方向に回転軸を持つ回転球周りの流れについて,Reynolds数100-300, Mach数0.2-2.0, 無次元回転速度0-1.0の条件で,渦構造や空力係数,壁面応力を調べた.回転による揚力は,Mach数の増加により抑制されることを明らかにし,非圧縮性の混相流では粒子の回転による揚力が粒子クラスタの分散を促進するのに対して,圧縮性流れでは粒子クラスタが維持されやすく高密度の粒子クラスタが形成される可能性を示唆した. バリスティックレンジを用いた弾道飛行実験では,Reynolds数3.8 × 10^3-1.0 × 10^5, Mach数0.9-1.5の条件で自由飛行する球周りの流れをシュリーレン法により可視化し,後流渦の構造や再循環領域の長さ,衝撃波離脱距離を調べた.この試験で得られた時間平均場とReynolds数1000以下のDNSのデータから,Reynolds数1,000-3,000付近に再循環領域長さの変曲点の存在を示し,その条件で流れの様相が大きく変化する可能性を示唆した.また,可視化画像に対して特異値分解を応用し,ノイズが強く不鮮明な画像から流れ場のモードを抽出することに成功した.加えて,より低Reynolds数で試験を行うために衝撃波管による球-平面衝撃波干渉実験の実験系確立とそれを用いた流れの可視化,抵抗係数推定を行った.弾道飛行試験と異なり,光学ガラス上の境界層のパターンにより特に球が小さい場合に球後流の可視化が困難なことが分かったが,断層シュリーレン法を用て解決可能と考えている.抵抗係数は問題なく取得できており,継続して実験を行う予定である.
|