研究課題/領域番号 |
18J11259
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 耀平 北海道大学, 水産科学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | Gut regeneration / Gut microbiome / Sea cucumber / Apostichopus japonicus |
研究実績の概要 |
近年、生物はホスト細胞とこれに付随する微生物細胞の統合体holobiontであるとの認識が広まりつつある。プラナリア、イモリ、ナマコなど卓越した再生能をもつ動物も例外ではない。ホストの再生はこのholobiontの再構成であり、その過程では微生物叢も関与すると考えられるが、研究を進めるためのモデルが存在せず知見は極めて乏しい。本研究では、後口動物の中で卓越した消化管再生能を有し、その再生機構の研究が進展しているナマコをモデル生物として確立するため、消化管再生過程における微生物叢のダイナミクス解析、および宿主の再生に寄与する微生物の探索を進めた。 平成30年度は、人為的に消化管を再生させたマナマコを作出し、消化管再生の最終ステージである消化管再成長過程を対象に、実験室に構築したナマコの個体追跡実験系を用いて、同一個体の糞便微生物叢のダイナミクスを解析した。微生物群集の類似性の指標の一つであるUniFrac距離に基づく主座標分析を行なった結果、消化管再生の前後で糞便微生物叢が大きく変化する傾向が見られた。しかしながら、個体ごとに微生物叢の群集構造に大きなばらつきが見られたため、次年度では個体数を増やし、かつコントロール群のナマコの糞便微生物叢と常に比較するという方法論で再解析する必要が生じた。一方で、消化管再生過程の糞便試料から微生物の分離を進め、アルファプロテオバクテリア綱に属する菌株を含む合計18株を取得できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ナマコの消化管再生実験、及びシーケンスデータ解析の結果、各個体の微生物群集構造に予期しなかったばらつきが見られたため、予定より多くの試料について、詳細な評価を実施する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では消化管再生実験に用いるナマコの個体数を増やし、かつ消化管再生群とコントロール群の糞便微生物叢を常に比較するという方法論で再解析する。また、引き続きナマコ由来分離株カルチャーコレクションを拡充し、このコレクションの中からナマコの消化管再生と関連する可能性のあるキープレイヤーを見つける。
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