現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
“化学選択的エステル類の水素化反応開発”では完全な化学選択性の発現を達成することができた。また、芳香族化合物で2つのエステルをつないだ化合物でも良好に反応が進行することを明らかにした。一度目の反応が進行し、第1級水酸基を生じたとき、ラクトンを形成できる位置にもう1つのエステル基がある基質ではジオールの形成が見られる傾向にあった。また、基質内に3つのエステル基を持つ化合物においても本法は有効であることを見出した。すなわち、マロン酸ジメチル部分とアジピン酸ジメチル部分を持つトリメチル1,1,4-ヘキサントリカルボキシラートに関して標準条件で反応を行ったところマロン酸ジメチル部分が99%以上の化学選択性かつ定量的収率で還元されたモノオール体を得た。 “エナンチオ・化学選択的エステル類の水素化反応開発”に関しては、α,α-二置換マロン酸ジメチルを基質とした4級不斉炭素構築を目指し、条件の検討を行った。初期検討では定量的収率、完全な化学選択性、80:20 erを獲得したが、のちの配位子構造のチューニングではエナンチオ選択性の向上が見られなかった。
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