研究課題/領域番号 |
18J11537
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
程 輝 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 嫌気性膜バイオリアクター / 生ごみ処理 / 中空糸型膜 / メタン発酵 / 膜ファウリング / 膜の最適化操作 |
研究実績の概要 |
当該年度に研究実績の概要: (1) 中温条件におけるAnMBRを用いた生ごみのメタン発酵。本研究では、生ごみの嫌気性発酵に及ぼす有機物負荷(OLR)の影響を評価した。OLRは2.43 g-COD/L/d から4.86, 7.29, 9.72, 14.58 へと段階的に増加した。9.72 g-COD/L/d の条件では、有機物の除去率が高く、VFA濃度が低く維持され、メタンへの転換率も高かった。有機物分解とバイオガス生成について評価した結果、9.72 g-COD/L/dは最適な有機負荷であることを明らかにした。 (2) 生ごみ処理における中空糸嫌気性膜バイオリアクター操作の最適化。中空糸型嫌気性膜バイオリアクターの操作を最適化した。異なる濾過:休止比(F / R)が適用された。TS 25、20、15および10 g / Lについての最適F / R比は、それぞれ3分の濾過:6分の休止、3分の濾過:1分の休止、3分の濾過:1分の休止、3分の濾過:1分の休止であることを示した。対応する持続可能なフラックスは、3.6±0.5、9.3±0.2、10.1±0.4および13.2±0.3LMHであり、これらは連続濾過モードで達成されたものよりはるかに高かった。これらのパラメーターはAnMBRの設計や運転において必要不可欠なものである。 (3) 中温条件におけるAnMBRを用いた生ごみと下水汚泥の混合発酵。生ごみと下水汚泥のTS比を100:0、75:25、50:50および25:75に変化させて連続実験を行い、メタンの生成状況と最適な膜操作モードについて検討した。いずれの原料条件でも安定した運転が得られたが、下水汚泥比率の増加に伴い、分解率やメタン生成率が減少したものの、消化液のろ過性が向上し、持続可能ファックスが増加した傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度において、「AnMBRとAnammox・HAPを組み合わせたプロセスによる生ごみのメタン発酵」を目指て(1)中温条件におけるAnMBRを用いた生ごみのメタン発酵、(2)生ごみ処理における中空糸嫌気性膜バイオリアクター操作の最適化、(3)中温条件におけるをAnMBR用いた生ごみと下水汚泥の混合発酵などの項目に分けて研究を進め、それぞれ具体的な成果を上げることができた。 (1)中温条件におけるAnMBRを用いた生ごみのメタン発酵について研究は、生ごみの嫌気性発酵に及ぼす有機物負荷(OLR)の影響を評価した。有機物分解とバイオガス生成について評価した結果、9.72 g-COD/L/dは最適な有機負荷であることを明らかにした。(2)生ごみ処理における中空糸嫌気性膜バイオリアクター操作最適化の研究は、TS 25、20、15および10 g / Lについての持続可能なフラックスは、3.6±0.5、9.3±0.2、10.1±0.4および13.2±0.3LMHであり、これらは連続濾過モードで達成されたものよりはるかに高かった。これらのパラメーターはAnMBRの設計や運転において必要不可欠なものである。(3)中温条件におけるAnMBRを用いた生ごみと下水汚泥の混合発酵について研究は、いずれの原料条件でも安定した運転が得られたが、下水汚泥比率の増加に伴い、分解率やメタン生成率が減少したものの、消化液のろ過性が向上し、持続可能ファックスが増加した傾向が見られた。 その成果、第一著者査読付き論文2本と海外学会発表2件など多くの成果を挙げられる。また、関連の研究テーマに積極的に関わり、様々の貢献をした。全体として「当初の計画以上に進展している」と思います。
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今後の研究の推進方策 |
省エネルギー化を実現するには、メタン生成能力を持つ嫌気性古細菌を活用することが有効であるが、従来技術では処理水のアンモニア性窒素量が高い等の問題があった。また、Anammox (Anaerobic Ammonium Oxidation)脱窒技術は従来の生物学的脱窒方法比べて、電子供与体が要らない、酸素要求量が少ない、処理費用が低いと報告されている。そこで、生ごみを活用し、低コストで安定運転なメタン産出と良好な水質確保技術は現状問題の解決に向ける重要な課題となる。 既往研究によりAnammoxプロセスによって、高濃度窒素が除去されたと同時に排水中のリンも回収できたと報告された。そこで、申請者はHAP法を組み合わせたAnammox を利用し、脱窒とリン回収を実現するAnMBR流出水の更なる改善を提案した。この二種類のプロセスを組み合わせれば高有機物負荷運転、窒素除去、リン回収、良好な排出水質ができるようになり、これまでなかった革新的な生ごみ処理システムを開発する。このように、生ごみや下水汚泥を再生エネルギーとしてメタンに変わり、高品質で安全安心な流出水及び環境への負荷の低減といった課題にも貢献できる。 目的を達成するために、AnMBRとAnammox・HAPを組み合わせたリアクターのデザインを決定し、回分実験により基質の発酵特性と微生物の最適成長条件を検討し、更に連続実験により運転安定効果及び長期性を察する。その間に定期的に微生物をサンプリングし、分子生物学的な手法を用いて微生物群集構造解析及び数理モデルと物質収支を調査する。各運転段階で得られたデータに基づいて、数式化、モデル化による実証を行い、実用化に向けて安定したメタン生産、窒素除去、リン資源回収を提案する。研究成果により、AnMBRとAnammox・HAPを組み合わせたプロセスについてLCA評価を行う。
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