本研究では、空き家の適正な管理を行うにあたり、空き家の除却・利活用に関する海外事例及び自治体財政の歳出削減の可能性について分析を行った。 海外事例に関して、我が国よりも早期に人口減少が発生した旧東ドイツ地域を取り上げ、建物除却方針や建物跡地利用がどのような方針で決定づけられたかについて明らかにした。具体的にはベルリン市東部の住宅団地を例にとって現地調査を行い、跡地現況と建物除却計画・将来方針との対応関係を分析した。結果、ドイツの建物除却・利用計画は法的拘束力が無いにも拘らず、計画の早期段階から敷地レベルで開発方針を定め、特に公園利用等で留保したい敷地について、非建蔽地として保全に努めていた。一方で、民間開発の潜在性がある土地や公共施設配置の必要性が無い敷地は、民間に所有者移転する等して比較的柔軟に計画を進めていた。なお、本成果は都市計画学会論文集で掲載決定となった。 続いて、自治体財政に着目し、特に自治体連携を行うことでどのように効率的に自治体経営を行うことが出来るのか、自治体連携を踏まえたうえでの効率的人口規模について分析を行った。結果、自治体連携による歳出削減効果は衛生、消防費において人口増加とともに減少する、すなわち衛生、消防費は小規模自治体で歳出削減効果が大きいことがわかった。本成果はLocal Government Studiesに掲載決定となった。続いて、特にごみ処理、消防サービスに着目して最適な人口規模を推定した。これにより、ごみ処理、消防の兵器点的な効率的人口規模はそれぞれ約80万人、約43万人とわかった。本成果は都市計画学会論文集及びAsia-Pacific Journal of Regional Scienceで掲載決定となった。 今後、自治体経営の側面からみた空き家・空閑地の適正な管理に資する研究を進めていきたい。
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