本研究は、客観的指標を用いて軟骨分化過程を評価して、パターン形成過程に重要な細胞間相互作用を発見し、複雑なパターン形成メカニズムを体系的に理解することを目標としている。 前年度までに、ニワトリ胚肢芽間充織初代培養細胞を用いて、長時間ライブイメージングを行うための実験システムの確立が完了していた。この実験システムによって、5日間ほどにも及ぶ長期間のパターン形成の全体を観察し、細胞密度や細胞挙動の変化などを追跡できるようになった。 前年度に取得した長時間ライブイメージングデータをもとに、細胞の移動距離や速度などの定量化を行った。また、細胞集団運動に着目した移動方向性についての解析も進めている。これらのデータを用いて、パターン形成時の細胞挙動の特徴を解析した。現在これらの結果をもとに、論文作成中である。 培養細胞の遺伝子発現状態による、細胞動態やパターンの変化を観察することを目的に、ニワトリ胚初代培養細胞への遺伝子強制発現手法の検討を行った。今回新たに確立した遺伝子強制発現手法に関して、条件検討などほぼ完了しており、現在、この実験手法に関する論文を投稿準備中である。
|