研究課題/領域番号 |
18J12075
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
田代 晃司 九州工業大学, 大学院情報工学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 動画像伝送 / 無線通信 / MIMO / 過負荷MIMO / 重畳符号化 |
研究実績の概要 |
本課題における最終目標は,以下の目標(1)・(2)・(3)を同時に達成する通信方式の開発である。「(1)広範囲・高画質な無線動画像伝送」,「(2)送受信アンテナ数の削減」,「(3)複数のユーザ端末に対する同時伝送」。2018年度は,上記の目標(1)・(2)・(3)に関して個別に研究を行った。また,得られた成果について国内学会や国際会議で発表し,論文誌へ投稿した。各目標に対応する具体的な研究成果は以下のとおりである。 目標(1)に関して,受信機側のアンテナ数を削減したシングルユーザ過負荷MIMO(multiple-input multiple-output)システムにおけるプリコーディング手法および電力割り当てアルゴリズムを開発し,従来方式と同程度の画質を維持したまま最大で約1.4倍にあたる通信範囲の拡大を達成した。 目標(2)に関して,重畳符号化と逐次干渉キャンセルを併用したMIMOシステムをソフトウェアで実装し,演算量や復号性能の観点から評価を行った。また,通信状況に応じて電力割り当てを適応的に制御する新たな方式を提案し,送受信アンテナ数をそれぞれ4本から2本に削減したシステム構成においても,従来方式と同程度の画質を維持できることを確認した。 目標(3)に関して,目標(1)で開発したシングルユーザ過負荷MIMOシステムをマルチユーザに拡張した。プリコーディングと指向性制御技術を併用する通信方式を新たに提案し,複数の端末に対して同時に高画質な動画像の伝送が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題における最終目標は,上記の目標(1)・(2)・(3)を同時に達成する通信方式の開発であり,2018年度には各目標を個別に達成することができた。残す課題は,各目標における研究成果をひとつの無線動画像伝送システムとして統合し,その評価を行うことである。以上より,「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2019年度における目標は,上記の個別目標(1)・(2)・(3)における研究成果をひとつの無線動画像伝送システムとして統合し,その評価を行うことである。具体的には,目標(2)で開発した重畳符号化および逐次干渉キャンセルを併用するMIMOシステムに対して,目標(1)で開発したプリコーディング技術や目標(3)で検討した指向性制御技術を統合することで,目標(1)・(2)・(3)を同時に達成する新たな無線動画像伝送システムを構築する。また,作成した新たな無線動画像伝送システムについて計算機シミュレーションを行い,システムレベルでその性能を評価する。
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