研究課題/領域番号 |
18J12130
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 遼 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 表面弾性波 / マルチフェロイクス / 反強磁性共鳴 / 磁気弾性結合 |
研究実績の概要 |
近年ラシュバ効果やトポロジカル絶縁体のようにスピン軌道相互作用を起源とする電子系の新奇物理現象が発見されている。我々はそれらの物理の弾性波における対応現象を明らかにするため、表面弾性波を用いた研究を行なう。
本年度は空間反転対称性の破れた磁性体における弾性波現象を研究するためマルチフェロイクス上における表面弾性波現象の研究を行なった。 昨年度までに我々は室温マルチフェロイック物質であるBiFeO3において表面弾性波励起と磁場制御に成功しており、この現象が静的な磁気構造の変化が弾性波と結合した効果であることを明らかにしていた。今年度はより新しい現象の観測を目的とし、磁性体中の磁気ダイナミクスとの結合現象を観測するため、マルチフェロイクスのCuB2O4を用いて表面弾性波の研究を行なった。 CuB2O4単結晶をフラックス法で合成し、基板状に加工して表面にサブミクロンスケールの微細なくし形電極を作成した。このマルチフェロイック表面弾性波デバイスで3GHzもの高周波な表面弾性波を励起することに成功した。磁気転移点以下の低温で表面弾性波の磁場依存性を調べ、表面弾性波の磁場変化を観測した。他のマイクロ波分光実験も行うことでこの現象は表面弾性波とCuB2O4中の反強磁性共鳴との結合現象であることを明らかにした。このように、マルチフェロイクスにおける表面弾性波励起と反強磁性共鳴を同時に実現することができた。対称性の観点から反強磁性共鳴と表面弾性波の結合を解析した。これらの結果をPhys. Rev. B誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたようにマルチフェロイクスにおける表面弾性波と磁気励起との結合を観測し、論文として発表できたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で得た知見と技術をもとに、表面弾性波がもつと考えられる弾性波の偏向に注目し、それの磁性体との結合現象の観測を行う。
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