研究課題/領域番号 |
18J12301
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 剛志 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
キーワード | 出入国管理 |
研究実績の概要 |
本研究活動は当初から計画していた「外国人に対する出入国管理政策が外国人の受入国にどのような影響をもたらすのか」という研究課題から大きく広がりを見せ、単に外国人に対する出入国管理政策だけでなく、政府の課す関税や外国法人への規制、また政府活動自体についての分析など様々な政策課題に関する研究活動を行っている。 まず、当初からの研究課題である、外国人に対する出入国管理政策については、訪日外国人向けの査証政策と訪日外国人数・不法残留者数に関する実証分析の精緻化を進めており、学会での発表・学術誌への投稿に向けてさらなる研究を進めている。この研究では、訪日外国人向けの査証政策は不法残留者に影響が見られないという新たな結果を得た。 また、これに関連し、税関施設への視察・ヒアリング調査の実施を行った。国内外の消費税の差額を利用した犯罪の取り締まり事例の紹介を受けるなど出入国管理の実態把握を行い、国内政策が人・ものを含めた出入国管理政策に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。このため、当初予定していた外国人に対する出入国管理政策に加え、関税や外国法人への規制、また、国内の政府活動についての研究を行うこととなった。具体的には出入国管理においてちぐはぐな政策実施がなされているとの指摘のあるように、政府は自己の目的と整合的な行動をするとは限らない上、自己の目的と整合的な行動をしているようであっても本来的な目的とは異なる選択を行っている場合が散見される。そのため、このような政府行動に関して、特に政府の債券発行についてのいくつかの研究も行った。これらの研究では、政府が自己の地域の効用最大化を図っても、コモンプール問題と呼ばれる問題によって、必ずしもそのような結果が得られないということがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初からの研究課題である、外国人に対する出入国管理政策について雑誌投稿が遅れている。現在は訪日外国人向けの査証政策と訪日外国人数・不法残留者数に関する実証分析の精緻化を進めている最中であり、学会での発表・学術誌への投稿に向けてさらなる研究を進めている。また税関施設への視察・ヒアリング調査の実施を行い、出入国管理の実態把握も進めている。 ここで、国内政策が人・ものを含めた出入国管理政策に大きく影響を及ぼすことが明らかとなり、また、当初計画した研究計画については実施の困難性が明らかとなったため、現実の問題と沿うような新たな広がりのある研究課題に取り組むこととなった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は予定していた外国人に対する出入国管理政策に加え、関税や外国法人への規制、また、国内の政府活動についての研究を行うこととする。これは当初の研究計画の実施の困難性と実際のヒアリングなどを通した現場の問題意識との整合性を鑑みた推進方策である。 外国法人と関税に関する研究については、従来の居住地主義・利益課税の原則的な法人課税を仕向地主義・キャッシュフロー課税にした場合の企業行動の理論分析を行う。どちらの課税方式も原則的には法人税であるが、それぞれの方式の違いによって関税のかかり方が異なる上、国内外の企業の海外市場への参入退出行動が変化することから、国際間の法人活動を適切に管理する法人税のあり方が模索されている。 これは関税・企業の参入退出など財・企業の出入国管理とも言える分析であり、消費税などを巡る実際の関税の現場の問題意識とも整合的なものである。
|