研究課題/領域番号 |
18J12315
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三木 健司 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 花粉飛散 / 長距離輸送 / 空間分布 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、花粉の時空間的分布を明らかにすることである。 平成30年度は、花粉粒子が空間的に広がる場合、花粉粒子に関するどのような要素が空間的な広がりを生むのかを明らかにするため、史上初となる、富士山山頂における、花粉粒子の採取を行った。富士山測候所で実験を行った理由は、富士山山頂は森林限界の上にあるため、山頂で捕集された花粉粒子は、ほぼ全て、低高度から風により巻き上げられてきた花粉粒子であるといえる。このため、富士山山頂において花粉粒子を採取し、採取された花粉の形状と種類を見ることで、どのような条件でどのような花粉粒子が長距離まで巻き上げられるかが明らかとなるためである。 本実験により、花粉粒子の破片と見られる粒子を複数採取することに成功した。これまで、花粉の研究者は花粉の破片は研究対象として見なしてこなかった。この理由は、これまでの花粉の研究者は、正確な花粉濃度を知ることが最大の目的であったため、花粉粒子が50%以上の損失を受けている場合は花粉捕集数として計上されないためである。このため、花粉粒子の破片の飛散についての研究はほとんど存在しない。 しかし、花粉が破片へと破断することで、より長距離な飛散が可能となるのであれば、これまで誰も考えてこなかった、新たな花粉の飛散経路が見つかる可能性が出てきた。 現在は、この花粉の破片は、どのような過程を経て生み出されたものであるのかを、気象要素と関連付けて解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
富士山測候所の利用は当初の予定には含まれていなかったが、平成30年度は、富士山測候所の協力を得ることが出来たため、史上初の実験を行うことが出来た。 また今年度は、従来より行ってきた、花粉採取装置の採取効率に関する研究においても成果を上げることができ、1報を国際雑誌"Atmospheric Environment"へ掲載することができた。また、1報を現在執筆中である。これらの研究は、本研究課題である花粉の時空間分布の解析には不可欠な知見である。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、富士山測候所において追加試験を予定している。この追加実験では、長年花粉の採取を大規模に行ってきている、スイス気象局との連携を強化しており、スイス気象局と議論を行うことにより、昨年度の実験の問題点を改善した実験方法を実行する予定である。また、令和元年度の実験の結果を、年度末までに論文としてまとめ、国際雑誌に投稿する予定である。
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