研究者らは、今年度は国際研究グループであるCREAM(Consortium for Refractive Error and Myopia)と近視性黄斑症に関してメタ解析を行った。既報の50以上の近視関連遺伝子について検討を行い、近視関連遺伝子としてもよく知られているKCNMA1とGJD2が、近視発症のみならず近視性黄斑症の発症にも寄与していることを特定した。この結果はアジア人のみならず、白人でも再現性を確認した。以上の結果について、本年度に英文誌に受理された。 上記と並行して、前年度の申請書で述べたように、Watsonとゲノムワイド関連解析の組み合わせにより、他の眼他因子疾患の関連遺伝子解明を試みた。角膜厚に関連する遺伝子を解析しWatsonと組み合わせることにより、円錐角膜感受性遺伝子の特定を試みた結果、STON2とSMAD3という2つの遺伝子を円錐角膜感受性遺伝子として特定した。上記の結果は現在英文誌に投稿中である。 また前年度に、中心性漿液性脈絡網膜症感受性遺伝子を報告したが、今年度はさらなる遺伝的背景の解明を試みた。ゲノムワイド関連解析研究において、TNFRSF10AとGATA5近傍の遺伝子領域が中心性漿液性脈絡網膜症の発症に強く関与することを明らかにし、この結果は他人種(ヨーロッパ人)でも再現性が確認された。TNFRSF10Aはこれまで加齢黄斑変性感受性遺伝子と考えられてきたが、本研究によりむしろ中心性漿液性脈絡網膜症感受性遺伝子であることが示唆された。これらの結果は、本年度に英文誌に受理された。
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