研究実績の概要 |
申請時、(a)strophastrol(以下str) Aの大量供給に向けた合成法の改良、(b)str Bの立体選択的合成、(c)str C, D及びglaucoposterol(以下gla) Aの合成、(d)構造活性相関研究、という研究目的を設定した。昨年度までに(a)と(b),そして(c)のstr Cの合成までを達成した。そこで今年度はstr D及びgla A、そして今年度のはじめに単離された類縁隊であるstr EとFを新たに標的化合物に加え、本化合物群の網羅的な合成に取り組んだ。 まずはstr E及びFの合成に取り組んだ。str Cの中間体から官能基変換を行い、str Fの初の合成を達成した。一方で、ボランアンモニア錯体を用いることにより、ケトン基の位置及び立体選択的な還元が可能であることを見出し、str Eの初の合成を達成した。 続いて、gla Aの合成に取り組んだ。ところが、str Fの合成法と同様の手法を用いて提唱構造の合成を達成するも、天然物とはNMRが一致しなかった。一方、先に合成したstr FのNMRデータが天然物のgla Aと酷似していることを見出した。その後詳細な解析を行った結果、単離されたgla Aは実はstr Fであったことが強く示唆された。 最後にstr Dの合成に取り組んだ。str Dは平面構造のみの決定にとどまっており、その構造をstr Cの22位のエピマーであると予想した。ところがstr Dの推定構造を合成するも、NMRは一致しなかった。そこで合成したstr類や過去に合成例のある類似のステロイド化合物とNMRデータの比較・解析を行ったところ、str Dの真の構造はstr Cの7位のエピマーであることが示唆された。そこで、str Cの7位のエピマーを合成したところ、合成品と天然物のNMRは良い一致を示し、str Dの合成と構造決定に成功した。
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