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2019 年度 実績報告書

ショーペンハウアー哲学における中世キリスト教思想の受容と展開

研究課題

研究課題/領域番号 18J12664
研究機関上智大学

研究代表者

堤田 泰成  上智大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2020-03-31
キーワードスコラ学 / 個体化の原理 / 聖人論 / 自由意志 / 恩恵
研究実績の概要

本研究の課題は、ショーペンハウアーの哲学、特にその救済思想(「意志の否定」論)を中世キリスト教思想の受容と展開という点から明らかにすることにある。最終年度にあたる本年度は、昨年度の研究成果を踏まえつつ、当初の年次計画通り(2) 普遍と特殊、(3) 自由意志と恩恵、というテーマから研究課題を遂行した。
(2)について、ショーペンハウアーが中世スコラ学の「個体化の原理」というタームを用いて現象界の数多性を説明している点に着目し、「一者」としての意志(普遍)とその現象である個体(特殊)の問題を、トマスやスアレス、ロック、ライプニッツの個体論なども参照しながら検討した。これにより、中世スコラ学からスアレス、近世哲学を経由してショーペンハウアーへと至る「個体化の原理」の哲学・思想史的系譜を文献的な裏付けをもって解明することができた。
(3)について、ショーペンハウアーの「意志の否定」論とキリスト教の恩恵論との関係性を、エゴイズム(我意)の放棄という共通項から考察することを試みた。昨年度の研究成果からショーペンハウアーの「意志の否定」論とキリスト教の神秘主義、聖人論との間に予想以上に深い関連があることが判明したため、彼が「意志の否定」の体現者と見なしているアッシジの聖フランチェスコを考察の対象とした。ショーペンハウアーの所蔵していた『聖ボナヴェントゥラによる聖フランチェスコ伝』(ビヒャルト編、1847年)の書き込みの検討を行い、彼がフランチェスコのうちに清貧・禁欲・同情という「意志の否定」において重要とされる三つの要素を見出していたこと、またフランチェスコの人間と自然への歓びに溢れた生活のうちに本来的な自己を実現・現実化する積極的な生(人生)の肯定のあり方を見出していたことなどを確認した。

現在までの達成度 (段落)

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 初期ショーペンハウアー哲学における新プラトン主義―「一者」理解の変容をめぐって―2020

    • 著者名/発表者名
      堤田泰成
    • 雑誌名

      新プラトン主義研究

      巻: 18 ページ: 49-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ショーペンハウアーにおける「個体化の原理」の問題2020

    • 著者名/発表者名
      堤田泰成
    • 雑誌名

      実存思想論集

      巻: 35 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アッシジの聖フランチェスコを通して見たショーペンハウアーの「意志の否定」論2020

    • 著者名/発表者名
      堤田泰成
    • 雑誌名

      カトリック研究

      巻: 89 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「大いなる神秘」としての世界―ベーメとショーペンハウアーの世界創造論―2019

    • 著者名/発表者名
      堤田泰成
    • 雑誌名

      ショーペンハウアー研究

      巻: 24 ページ: 45-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 翻訳 ショーペンハウアー『初期遺稿集』(10)2019

    • 著者名/発表者名
      西章、シュタイナー堀郁、鳥越覚生、林由貴子、堤田泰成、太田匡洋
    • 雑誌名

      ショーペンハウアー研究

      巻: 24 ページ: 61-79

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 翻訳 フリードリッヒ・ニーチェ 遺稿「ショーペンハウアーについて」2019

    • 著者名/発表者名
      赤塚愛、荒木和明、江藤信暁、堤田泰成、中山結
    • 雑誌名

      ショーペンハウアー研究

      巻: 24 ページ: 139-155

    • 査読あり
  • [学会発表] ショーペンハウアーにおける「個体化の原理」の形成とその射程2019

    • 著者名/発表者名
      堤田泰成
    • 学会等名
      実存思想協会第35回大会
  • [学会発表] Schopenhauer und Franz von Assisi2019

    • 著者名/発表者名
      Yasunari Tsutsumida
    • 学会等名
      Internationaler Kongress "Das Hauptwerk. 200 Jahre Arthur Schopenhauers Die Welt als Wille und Vorstellung“
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Die Frage nach dem Individuationsprinzip bei Schopenhauer2019

    • 著者名/発表者名
      Yasunari Tsutsumida
    • 学会等名
      Internationaler Arbeitskreis "Die neue Schopenhauer-Forschung“
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] アッシジの聖フランチェスコを通して見たショーペンハウアーの「意志の否定」論2019

    • 著者名/発表者名
      堤田泰成
    • 学会等名
      日本ショーペンハウアー協会 第32回全国大会

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公開日: 2021-01-27  

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