これまでに我々は培養細胞HEK293TでAMNと共に全長CUBNを発現させることで、CUBN/AMN受容体によるアルブミン取込みを評価する実験系を構築した。またCUBN/AMN受容体の新規結合蛋白であるNVL(nuclear valosin-containing protein-like)がCUBN/AMN受容体のエンドサイトーシス及びリガンド取込みを促進していることを明らかにした。今年度我々はNVLとCUBN/AMN受容体の相互作用の分子機構解明のため、NVLが持つATPaseとしての機能が受容体輸送制御に寄与するかについて探求した。具体的にはATPase機能を喪失させるE365Q/E682Q変異NVLをドキシサイクリン誘発性にHEK細胞で発現させ、CUBN/AMN受容体によるアルブミン取込みに対する影響を調べたところ、正常型NVLを発現させた場合に比べて有意にアルブミン取込みの抑制が見られた。このことからCUBN/AMN受容体によるリガンド取込みにはNVLのATPaseとしての機能が必要であることが示唆された。 NVLはこれまで核内に局在し、リボソーム合成やテロメアーゼ活性に関わると報告されていた。NVL分子の多様な機能はこれまで全て培養細胞実験系で検証されており、生体内でNVLが果たす役割は知られていない。今後我々はNVL2ノックアウトマウスの表現型解析を行うことで、NVL2の生体内での機能解明を目指しており、文科省先端学術領域先端モデル動物支援プラットフォームの支援をうけ、現在F1世代(NVL2+/-マウス♂)作成済みである。
|