研究課題
ヒトヘルペスウイルス(HHV)の多くは潜伏感染や持続感染をするが、宿主免疫の低下等により再活性化し種々の病態を示す。一部のHHVによる感染症には、有効かつ副作用の少ない治療薬が存在するが、他のHVVによる感染症には重篤な副作用が発生する治療薬しか存在しない。その為、全てのHVVに対して有効な新規抗ウイルス薬の開発が望まれる。既存の抗ウイルス薬の殆どはウイルス因子を標的とする為、他のウイルス感染症では薬剤の効果が十分に得られない。そこで、宿主因子を創薬標的とすることで、全てのHHVに効果をもつ薬剤の開発に繋がると予想された。本研究では単純ヘルペスウイルス(HSV)をHHVのモデルとし、創薬標的として実績のある宿主リン酸化反応に注目して、HSVの生活環を制御する宿主キナーゼ及び宿主ホスファターゼの同定、および制御メカニズムの解明を行うことを目的とする。本研究により、HSVの新規増殖機構を見出すとともに、新たな抗ウイルス剤の標的同定に繋がる知見を得ることを目指す。令和1年度は、宿主キナーゼ・ホスファターゼ全遺伝子に対するノックアウト細胞を用い、スクリーニングを行った。平成30年度にCRISPR-Cas9 Systemを利用して構築したノックアウト細胞では、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)野生型感染に耐性となる細胞が得られなかった。その為、異なるデザインのgRNAを発現するレンチウイルスベクターを購入し、新たに、全宿主キナーゼ・ホスファターゼを含む遺伝子群を対象としたノックアウト細胞を構築した。さらに、本細胞に対し、HSV-1野生型を感染させ、感染耐性となる細胞群を得た。今後は本細胞群のgRNA解析を行い、ウイルス感染に寄与するキナーゼ・ホスファターゼを明らかにするとともに、他の実験系を立ち上げることで、多面的に本ライブラリー細胞を解析する。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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