研究課題/領域番号 |
18J13111
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
西川 将司 岐阜大学, 連合創薬医療情報研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | G蛋白質 / GPCR / Rho / RhoGEF / アクチン細胞骨格 |
研究実績の概要 |
細胞運動時、遊走因子等のリガンドにより活性化された各種三量体G蛋白質共役型受容体 (GPCR) は、活性型三量体G蛋白質αサブユニット (Gαs、Gαi、GαqまたはGα12/13) と、βγサブユニット (Gβγ) を介して、アクチン細胞骨格を制御する。このシグナルには、Rhoファミリー低分子量G蛋白質 (Rho) と、それらに対する特異的グアニンヌクレオチド交換因子 (RhoGEF) が寄与することが知られている。最近我々のグループは、活性型GαsとGβγにより制御されるRhoGEFとしてPLEKHG2を報告した。そこで、本研究の目的である新規GPCRシグナル依存性RhoGEFを同定するため、PLEKHG2 と類似性が高いRhoGEF群を中心に各種三量体G蛋白質 (Gβγ、Gαs、Gαi、Gαq、Gα12/13) との応答性を調べた。その結果、Giシグナルによって活性化される新規GPCRシグナル依存性RhoGEFとしてPLEKHG1を同定した。また、細胞内における蛋白質-蛋白質間相互作用解析の結果、活性型GαiとGβγはそれぞれPLEKHG1と相互作用することが明らかとなり、PLEKHG1は活性型GαiとGβγにより直接活性化されることが示唆された。今後はPLEKHG1の活性制御機構の詳細や、GiシグナルがPLEKHG1誘導性細胞運動に与える影響等について解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、一年目に新規GPCRシグナル依存性RhoGEFとして、GβγとGαiにより直接活性化されるPLEKHG1を同定することができた。研究開始当時、Gα12/13 は p115-RhoGEF、Gαq は p63-RhoGEF、Gβγ は P-REX1 と PLEKHG2 、Gαs は PLEKHG2を直接活性制御する報告はあったが、Gαi により直接制御されるDblファミリーRhoGEFは見つかっていなかった。このことからPLEKHG1は、Gαiに直接活性化されるDblファミリーRhoGEFとして世界初の報告例となるため、非常に新規性が高いと考えられる。また、PLEKHG1変異体を用いた相互作用解析から、PLEKHG1におけるGβγとGαiそれぞれの相互作用領域も同定している。現在、今年度得られた結果をまとめて論文投稿準備中である。これらの観点から、概ね計画通りに遂行できたと考えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、Gi依存性PLEKHG1のシグナル経路の詳細を明らかにするため、PLEKHG1に対する新規制御因子の同定とその細胞機能の解明を目指す。当初の計画通り、酵母Two-hybrit法等を行うことで、PLEKHG1の相互作用蛋白質群を網羅的にスクリーニングし、その中からPLEKHG1制御因子を同定する。そして、それら制御因子がPLEKHG1誘導性細胞運動や細胞形態制御等に与える影響を検討する。
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