研究課題/領域番号 |
18J13115
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮原 真紀 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
キーワード | ナースコール / 看護管理 / 医療安全 / 医療ビッグデータ / 医療情報学 |
研究実績の概要 |
急性期病院の入院病棟において広く導入されている病院情報システムに蓄積されたビッグデータをターゲットとして、複数種のデータを統合し、医療安全の向上に利用できるデータベースの構築を目指し、その構築可能性を検討した。 本年度は転倒転落事故の発生予測に寄与すると推測される各種データを病院情報システムから探索および抽出を行い、それらの電子データと、定常的に記録されるナースコール履歴データとの突合方法を検討した。病院情報システムからは転倒転落リスクアセスメントデータ、患者基本情報、医療・看護必要度データ、転倒転落事故報告システムデータ等を抽出し、データベース構築に使用した。また、データの解釈に必要な情報、たとえば看護師のケアスケジュール、入院から退院までの患者の療養スケジュール、ナースコールの対応状況、患者がナースコールを鳴らす状況・理由等のナースコールシステムの運用状況、看護記録の入力内容等を把握するために、2つの病棟において見学調査・質問紙調査を実施した。 過去15年間のナースコール履歴データの分析、およびナースコール利用と転倒との関連性の検討により、年々ナースコール数が増加、特に離床センサコール数が増加していることを明らかにした。その背景にセンサ利用の増加がある可能性があること、さらにセンサコール数・センサ利用人日数の増加は転倒数の減少に関連しないことを明らかにした。 転倒転落予防を狙った積極的なセンサ利用やセンサ利用を促す患者指導が行われている一方で、センサコール数・センサ利用の増加は転倒数の減少と関連しておらず、むしろコール対応数を増やしていると推察された。これは、現状の医療安全対策や看護師の業務改善のエビデンスになる知見といえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画をおおむね完了しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度に構築したデータベースを用いて、転倒転落発生予測モデルを作成し、その評価を実施する。 さらに、データベースの構築手法および予測モデルの一般化可能性を検証するため、多施設からのナースコール履歴データおよび各種医療情報の抽出・解析を進める予定である。
|