研究課題
【研究の成果】一般急性期病院の入院病棟において広く導入されている病院情報システム(HIS)に蓄積されたビッグデータの二次的活用を目指し、主に看護に関連する複数種の電子データの統合手法を検討した。今年度は入院患者安全管理に着眼し、患者の転倒予測に応用できるデータベースの構築を行った。利用するデータは一般化可能性を重視し、ナースコールログデータ、看護必要度データ、DPCデータの様式1等に含まれる定型的・定常的に収集可能なデータをターゲットとした。構築したデータベースは、8時間の勤務帯別ごとにデータが更新されるシステムとし、このデータに機械学習の一種であるランダムフォレスト用いて高精度に転倒リスクが高い患者を判別できる手法を開発した。既存の予測ツールよりも高い精度の転倒予測モデルを開発することができた。【意義・重要性】従来の電子カルテデータを2次利用した転倒リスクアセスメント方法に比べて、さらに高い感度・低い偽陰性率有する予測手法を開発することができた。日常的に看護師等が入力する電子カルテデータを利用しているため、特別に新しいデータ入力や情報集収集作業などを必要としないため、現在の転倒リスクアセスメントシートの入力作業などを減らすことにも貢献すると考えられる。このデータベースおよび転倒予測モデルは、臨床現場においてデータドリブンでかつ効率的・実用的な転倒予防に貢献できると考えられ、さらに転倒に限らない他のアウトカムの発生予測に関してもこのデータベースを応用できる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
データベースの構築手法の検討、予測手法の開発までは、おおむね順調に進展している。
研究成果の学術発表ならびに、転倒以外の医療事故・インシデントの発生予測モデル構築およびその評価、他施設データを用いたデータベースおよび予測手法の一般化可能性の評価の実施を検討している。
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Scientific Reports
巻: 10 ページ: 1550
10.1038/s41598-019-56873-2