研究課題
カロテノイドの一種であるβ-クリプトキサンチンは、日本の代表的なカンキツ類であるウンシュウミカンに多く含まれている。国内外のヒトの栄養疫学調査や実験動物を用いた基礎研究により、骨粗鬆症、肥満あるいは脂肪肝などの様々な生活習慣病に対するβ-クリプトキサンチンの発症・進展抑制効果が明らかになっている。変形性膝関節症(OA)は、機械的負荷による関節炎症、腫脹や疼痛を生じる疾患であり、ロコモティブシンドロームの主要因となっている。本研究では、OA発症・進展に対するβ-クリプトキサンチンの治療効果をモデル動物を用いて検証した。まず、β-クリプトキサンチン投与群及びVehicle群の16週間の飲水量測定を行った。その結果、投与したβ-クリプトキサンチンの濃度にかかわらず、マウスによる飲料水の1日摂取量に有意な変化は観察されなかった。さらに、β-クリプトキサンチン投与は、マウスの体重や解剖後の組織重量、またはマウスの自発的行動に影響を与えなかった。また、Vehicle群と β-クリプトキサンチン投与群との間で、両群の Sham側における顕著な形態学的差異はみられなかった。一方、Vehicle群ではSham側と比較して、外科的誘発 OA側の膝関節部における顕著なSafranin O 染色性の低下が観察された。しかし、β-クリプトキサンチンを 1 mg/Lおよび 10 mg/Lで投与した場合、外科的に誘発されたOA側の膝関節部において、Safranin O 染色性の改善は観察されなかった。また、OARSIによって推奨された組織学的採点システムを用いてデータを評価した。その結果、すべての β-クリプトキサンチン投与群においてOA損傷のスコアには差が認められなかった。以上の結果により、β-クリプトキサンチンの(長期投与:16週間)のOAに対する治療効果は確認できなかった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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