研究課題/領域番号 |
18J13414
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
佐野 芽生 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | vinyl compounds / screening / Mizoroki-Heck reaction / Thiol-ene reaction |
研究実績の概要 |
本研究ではビニル化合物に選択的なカップリング反応であるMizoroki-Heck反応とThiol-Ene click(TEC)反応を用いて培養液中の微生物が生産したビニル化合物(バイオビニル)の選択的分離法の開発を行って来た。 研究計画に従い、放線菌と糸状菌をターゲットとしたスクリーニングを行い、土壌からイタコン酸などのバイオビニル生産菌の分離を試みた。また、開発中であったバイオビニル生産菌分離用培地の改良を完了し、実際の土壌菌のスクリーニングに導入した。 本研究で開発したスクリーニングにより、土壌中より、バイオビニル生産菌とみられる微生物が数株得られた。これらの微生物のうち一株はイタコン酸の生産菌であることが判明した。 土壌からイタコン酸生産菌を分離できたことから、本研究で構築した手法はバイオビニル生産菌の分離に有効であることが示唆された。 今後は新規バイオビニル生産菌の分離を目指してスクリーニングを続行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従い、放線菌と糸状菌をターゲットとしたスクリーニングを行い、土壌からイタコン酸などのバイオビニル生産菌の分離を試みた。また、開発中であったバイオビニル生産菌分離用培地の改良を完了し、実際の土壌菌のスクリーニングに導入した。 開発したスクリーニング法により、土壌中よりバイオビニル生産菌とみられる微生物が数株得られた。このうちの一株が生産するバイオビニルをMizoroki-Heck反応によりラベル化した物はLC-MS解析の結果、分子量は206.058、化学式はC11H10O4であった。これらはイタコン酸とヨードベンゼンの付加反応物であるベンジリデンコハク酸のそれらと一致した。よって、この分離株はイタコン酸生産菌であることが示された。土壌からイタコン酸生産菌を分離できたことから、本研究で構築した手法はバイオビニル生産菌の分離に有効であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は第一年度に引き続いて土壌微生物の探索を行う他、分離した生産物の解析を中心に行う予定である。生産微生物の候補は菌体、生産物ともに同定を進める。 また、現時点で分離している微生物の菌株と生産しているバイオビニルの同定や増産、生理活性の評価などを行う。
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