短時間高強度運動時の血中乳酸濃度の変化動態およびトレーニングによる適応を検討するため、低酸素環境下でのスプリントインターバル運動(SIE)およびトレーニング(SIT)を実施した。なお、低酸素環境への曝露は、解糖系酵素活性や酸化系酵素活性の適応および乳酸輸送担体の遺伝子発現量を変化させうる刺激である。 急性の低酸素環境下でのSIE時の乳酸代謝および運動パフォーマンスの応答を検討した。その結果、急性の低酸素曝露は、SIE中の乳酸代謝や運動パフォーマンスに影響しないことが示された。したがって、低酸素環境への曝露は生体内の酸素飽和度の低下等の生理学的ストレスを惹起しながらも、乳酸代謝や運動パフォーマンスに影響しないことが示された。なお、本研究は原著論文として纏められ、International Journal of Sports Physiology and Performance誌に掲載予定[In press]である。 次に、低酸素環境下でのSIT介入前後での乳酸代謝および運動パフォーマンスの変化について検討した。その結果、低酸素環境下でのSITにより、介入後に運動後の血中乳酸濃度が低下する傾向が確認された。このことは、低酸素環境下でのSITにより糖分解が抑制された、もしくは/および、ミトコンドリアでの乳酸の酸化量が増大した可能性が示されている。なお、本研究は原著論文として纏められ、Journal of Physical Fitness and Sports Medicine誌およびFrontiers in Sports and Active Living誌に掲載されている。
|