研究課題/領域番号 |
18J14399
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
竹見 祥大 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | モチリン / Suncus murinus / 小腸オルガノイド / Dibenzazepine |
研究実績の概要 |
ヒトやイヌでは、空腹時に胃から下部小腸へと約100分周期で伝播する伝播性空腹期収縮(Migrating motor contraction; MMC)が知られている。しかし、MMCの分子制御機構について、特に、どのようにして約100分間隔のリズムを作っているのかについては、現在でもそのメカニズムは不明であり消化管生理学の謎とされている。これまでMMCに見られる強収縮の惹起には消化管ホルモンのモチリンが重要であることが明らかにされており、MMCの約100分周期のリズム制御機構を解明するためには、同じ間隔を示すモチリンの分泌機構を明らかにする必要がある。そこで、本研究ではモチリンを産生することが知られている小型哺乳動物のスンクス(Suncus murinus)を用いて、モチリン分泌制御機構を明らかにすることを目的とした。 まずは、スンクスモチリン定量系を作製するために、スンクスモチリンのサンドイッチELISAの確立を試みた。しかしELISAよりも高感度なLC/MS/MSを用いた系を用いて、スンクス血中モチリン濃度の定量に成功したため、サンドイッチELISAの確立を省略した。 次に、in vitro実験系を用いてモチリン分泌制御機構を検討するために、スンクス小腸オルガノイドを作製し、Dibenzazepine(DBZ)処理によってオルガノイド内の細胞をモチリン産生細胞へ分化誘導することを試みた。その結果、スンクス小腸オルガノイドはマウス小腸オルガノイドとは異なり、DBZ処理によって内分泌細胞へ分化誘導されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
確立したスンクス小腸オルガノイドは、現在まで報告されているマウス小腸オルガノイドとは異なる小腸上皮分化機構を有する可能性が考えられ、Dibenzazepine処理によるモチリン産生細胞数の増加に成功していないため、当初の予定よりも進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
高感度のLC/MS/MSを用いたモチリン測定系を用いて、確立したスンクス小腸オルガノイド培養液中のモチリン濃度を測ることができなかったため、モチリンの分泌制御機構を解明するためにはモチリン産生細胞数を十分に用意する必要がある。そこで、当初の予定通り、スンクスモチリン株化細胞の作製を試みる。
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