研究課題/領域番号 |
18J14496
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
ラジャイ 麗良 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | リージョナル大学 / 高等教育のリージョナリゼーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、リージョナル大学が地域において果たす役割を3地域のケーススタディを通して明らかにすることである。リージョナル大学とは、地域内の3カ国以上の設立メンバーを持つ大学であり、比較的新しい大学の形態である。具体的には、南アジアの South Asian University、ヨーロッパの College of Europe と European University Institute、中央アジアの University of Central Asia (アフリカから中央アジアに変更)の4校の大学を対象とする。これらの大学の役割は、その地域的背景によって異なる。 これまでの研究では、まず3地域に限らず、すべてのリージョナル大学の特徴と設立背景を踏まえて、世界各地のリージョナル大学の類型化と理論化を行った。リージョナル大学には、主に3つのカテゴリー:1)機能型 2)プロジェクト型 3)地域統合型、が存在する。機能型リージョナル大学は、総合大学の機能的な役割を重視し、南太平洋や西インド諸島に見られる。これらの地域は島国が多く、各島に大学を設立することが不合理であったことから共同で大学を設立したという背景がある。一方で、プロジェクト型リージョナル大学は、アフリカで多く見られ、国際機関等のプロジェクトの一環として設立されたものが多い。人材育成やキャパシティービルディング等が目的である。地域統合型リージョナル大学は、大学が地域の開発や平和において果たす役割を重視する。 本研究では、地域統合型リージョナル大学が提供する何がどのように地域の開発や平和、そして地域統合につながるかを考察している。具体的には、地域統合論の新機能主義を用いて、リージョナル大学が新機能主義論で重要な要素とされるエリート・ソーシャライゼーションにおいてどのような役割を果たすことができたかを考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、ヨーロッパ、南アジアと中央アジアでのデータ収集を行うことができた。中央のUniversity of Central Asiaは、修士課程の時に訪問しており、博士課程に入ってからは、ヨーロッパで2校、南アジアで1校訪問し、教員と大学関係者に対してインタビュー調査を行った。これらのインタビュー調査と文献調査を通して、リージョナル大学の類型化と理論化を行い、またリージョナル大学が地域統合化で果たす役割を説明する理論的フレームワークを定めることができた。 3つの国際学会に参加し、またベルギー自由大学での派遣機会を得ることができ、沢山の研究者との交流を通して研究の理解を深めることも可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドワークで収集したデータの分析に取り組み、また今後、学生に対するアンケート・インタビュー調査を行い、学生の視点からのリージョナル大学の地域的役割を考察する。
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