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2019 年度 実績報告書

膜脂質を介した温度感知機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18J14529
研究機関京都大学

研究代表者

村上 光  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2020-03-31
キーワード細胞内温度 / ミトコンドリア / 脂肪酸不飽和化酵素 / 温度適応 / 膜脂質
研究実績の概要

細胞内の温度は、生体分子の存在状態や反応性に強く影響を与える因子である。従って、細胞は細胞内の温度変化を感知し制御する必要があると考えられるが、このような機構に関する知見は殆ど無い。本研究員は2018年度において、ショウジョウバエ培養細胞S2を用いた研究により、生体膜の流動性の制御に重要である脂肪酸不飽和化酵素の阻害が、細胞内温度の低下及びミトコンドリアの機能不全を惹起することを見出した。そこで当該年度の研究において、ショウジョウバエの脂肪酸不飽和化酵素DESAT1による細胞内温度制御の分子機構、さらに生理的意義について検証した。
DESAT1によるミトコンドリア機能制御の作用点を検証するために酸素消費量(OCR)測定を行ったところ、DESAT1の阻害がATP合成と共役したミトコンドリア呼吸を抑制することが示された。さらに複数の生化学的手法により、DESAT1の阻害によりATP合成酵素の複合体形成及び酵素活性が顕著に抑制されることを突き止めた。
また、S2細胞を通常より10℃低い15℃の低温環境下にて培養すると、リン脂質の不飽和脂肪酸がDESAT1の活性に依存して増加することを見出した。さらにこの低温暴露時には、ミトコンドリア膜電位の上昇を始めとした、DESAT1の活性依存的なミトコンドリア呼吸制御機構の活性化が観察された。また、LC-ESI-MSによる脂質分析と細胞内小器官の分画法を組み合わせることにより、不飽和脂肪酸を含有するリン脂質が低温暴露の際にミトコンドリアにおいて増加することを発見した。
以上の結果から、DESAT1はATP合成酵素の制御を介して細胞内温度の制御に関与することが示された。さらに、膜脂質の制御を介してミトコンドリア熱産生を亢進させることにより、低温環境下における細胞内温度の低下を抑制する機構の存在が想定された。

現在までの達成度 (段落)

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 膜脂質を介した細胞内温度の制御機構2019

    • 著者名/発表者名
      〇村上 光、長尾耕治郎、坂口怜子、岡部弘基、原田慶恵、梅田眞郷
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] 脂肪酸不飽和化酵素による細胞内温度制御の分子機構2019

    • 著者名/発表者名
      〇村上 光、長尾耕治郎、岡部弘基、原田慶恵、原 雄二、梅田眞郷
    • 学会等名
      第61回日本脂質生化学会大会
  • [学会発表] The membrane lipid-mediated regulation of intracellular temperature2019

    • 著者名/発表者名
      〇Akira Murakami, Kohjiro Nagao, Reiko Sakaguchi, Kohki Okabe, Yoshie Harada, Yuji Hara, and Masato Umeda
    • 学会等名
      Molecular & Cellular Biology of Lipids, Gordon Research Conferences
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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