研究課題/領域番号 |
18J14790
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平島 英明 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
キーワード | 線量精度 / 三次元線量分布 / ガンマ解析 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
①三次元線量分布に対する患者個別ガンマ解析法の開発 本研究は,放射線治療検証時に三次元測定装置(ArcCEHCK)を用い,臓器位置や治療計画の複雑さを考慮した線量精度の解析法を開発することである.平成30年度は,ArcCEHCKを用いた従来検証法と体内臓器を考慮した線量再構成法によるパス率の比較,さらに,体内臓器位置を実測線量分布上に可視化させる手法の開発の2項目を実施した.一つ目として,ArcCEHCKを用いた従来検証法と,体内臓器を考慮するための線量再構成法における線量精度の比較を前立腺癌において実施した.従来検証法と比較し,線量再構成法は結果を過大評価していることが明らかとなり,ArcCEHCKで測定した実測線量分布を基に,体内臓器位置を考慮する検証法の必要性を示した. 二つ目として,体内臓器位置を実測線量分布上に可視化させるためのアルゴリズム開発を行った.可視化させるためのアルゴリズムとして,Beams-eye-view(治療装置から患者を見る視点)で臓器の重なり具合を定量的に評価する臓器重複評価法を開発した. ②機械学習を用いた簡易的品質保証法の開発 本研究は,機械学習を用い線量精度を予測することである.平成30年度は,高精度放射線治療を施行した症例の治療計画から線量精度の予測可否を検討した. 京都大学医学部附属病院放射線治療科で,2015年から2017年までに高精度放射線治療を実施した600例を対象に,治療計画の複雑さ,治療機器の種類,エネルギーなどから,線量精度を予測する仕組みを構築した.予測には機械学習で用いられる回帰木,重回帰分析,ニューラルネットワークを用い精度を評価し,ニューラルネットワークが最も高い精度を有することを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は,高精度放射線治療の精度検証時において,線量誤差の原因追求と線量検証の簡便化を目的としている.これらを達成するために,①三次元線量分布に対する患者個別ガンマ解析法の開発と,②機械学習を用いた簡易的品質保証法の開発を実施している. ①三次元線量分布に対する患者個別ガンマ解析法の開発においては,基礎検討として従来法と線量再構成法の比較から提案手法の必要性を明らかにした.また,提案手法を実施するために臓器位置と線量誤差の関係性を評価する臓器重複評価法を開発した. ②機械学習を用いた簡易的品質保証法の開発においては,当院で高精度放射線治療を実施した患者を対象に,治療計画の複雑さや治療機器,エネルギーの違いを考慮し機械学習でモデル作成,検証をした.機械学習を用いて予測した線量精度は,実測線量検証における線量精度と比較し同等であることを明らかにした.
|
今後の研究の推進方策 |
①三次元線量分布に対する患者個別ガンマ解析法の開発 開発アルゴリズムの妥当性を検討し,臨床例を用いた解析から提案手法の有用性を示す. ②機械学習を用いた簡易的品質保証法の開発 実測線量分布を基に線量精度の予測を行い,妥当性,有用性を検討する.
|