研究課題/領域番号 |
18J14851
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉岡 広大 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | コレステロール / スクアレン / ケミカルジェネティクス / ケミカルバイオロジー / フィードバック調節 |
研究実績の概要 |
本研究ではコレステロール合成における律速酵素であるSQLE(squalene epoxydase)のステロール依存性分解という現象に着目し、脂質恒常性調節剤の新たなリード化合物として有用なSQLEの分解誘導化合物の創製を目指している。本年度までに、SQLEの安定性を評価するアッセイ系を構築し、コレステロール誘導体の合成と活性評価を行なった。現段階までに内因性ステロールの活性を大幅に超える高活性な化合物を得ることには成功していないが、今後の構造展開の指針が見出せる化合物群が得られた。 一方で分解とは逆の作用である、SQLE の安定化を誘導する化合物を新たに発見している。これらの化合物はSQLE 阻害剤、およびコレステロール合成においてSQLE の一つ下流で働くOSC(oxidosqualene cyclase )に対する阻害剤であった。SQLE はコレステロールにより分解されるため、当初はコレステロール合成の阻害が安定化の原因であると考えたが、コレステロール合成経路樹の他の阻害剤にそのような作用は見られていない。SQS(squalene synthase)阻害剤の併用実験やSQLEのノックダウンから、蓄積するスクアレンがSQLE 自身の安定化に関与していることがわかった。また、このスクアレンによる安定化がSQLEの触媒ドメインを介した作用ではなく、高等生物のみに保存されたN末端領域が重要であることを見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記のように、SQLE分解に対する構造活性相関の取得、さらにはスクアレン依存的なSQLE安定化の発見という二つの成果を得ることに成功している。特に、後述のSQLE安定化に関しては、SQLEの安定性制御に関わる因子を新たに同定したという点で、特記しうる成果と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
SQLE分解に対する構造活性相関の取得は引き続きコレステロール誘導体の合成を行なう。これまでの結果から、活性向上の可能性が見出せた部分構造に焦点を当てる。本年度はさらに、代謝を受けうるステロイド骨格から脱却した、非ステロイド型の化合物の創製を遂行したい。 また、スクアレン依存安定化に関してそのメカニズム解明を進める。現段階では、スクアレンが直接SQLEのN末端領域に結合している可能性を考え、光親和性スクアレンプローブの合成を目指している。活性を維持したスクアレンプローブの創製をすべく、光親和性標識が導入可能な部位を探索する。
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