研究実績の概要 |
本年度は強重力場における重力波の生成と伝播の理論的解明のために、重力波と同じくヌル測地線に従う光の曲がり角について以下の研究を行った。 1.generalized optical metricを用いて、定常かつ軸対称な漸近的平坦時空におけるレンズ天体から観測者及び光源が有限距離にあることを考慮した光の曲がり角を幾何学の定理の一つであるGauss-Bonnetの定理を用いて導出した[T. Ono et al. Phys. Rev. D 96, 104037 (2017)]。この手法を用いて、回転するTeo wormhole時空における光の曲がり角に対する有限距離補正を調べ、wormholeの回転と同じ方向(逆方向)の光は曲がり角が減少(増加)することを有限距離補正を含む形式で示した[T. Ono, A. Ishihara, and H. Asada, Phys. Rev. D 98, 044047(2018)]。 またこの研究成果について、ローマで行われた国際会議「MG15」にて発表した。 2.[T. Ono et al. Phys. Rev. D 96, 104037 (2017)]の手法を漸近的非平坦な時空への拡張を議論するために、欠損角がある回転するglobal monopole時空への応用を議論した。この結果はプレプリントとして公開し、査読付きの学術誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1.では[T. Ono et al. Phys. Rev. D 96, 104037 (2017)]の手法をwormhole時空に応用し、wormholeの回転による光の曲がり角に対する有限距離補正の効果について調べた。研究2.では[T. Ono et al. Phys. Rev. D 96, 104037 (2017)]の手法を漸近的非平坦時空へ拡張するための一歩として、欠損角がある回転するglobal monopole時空への拡張を議論した。 これらの研究を通じて、漸近的非平坦時空へ拡張の指標が得られた。
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