研究課題/領域番号 |
18J14879
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅原 祥 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 褐色脂肪細胞 / ミトコンドリア / 脱リン酸化酵素 |
研究実績の概要 |
我々が機能解析を行っている分子PGAM5の生理機能を明らかにする目的でPGAM5欠損マウスを作製したところ、高脂肪食負荷耐性などの表現型を示すことがわかった。表現型のメカニズムを明らかにするために褐色脂肪組織に注目して解析を行ったところ、褐色脂肪組織におけるエネルギー消費や熱産生に重要であるとされているUcp1のmRNA発現量、タンパク質発現量ともにPGAM5欠損マウスで増加していることが明らかになった。この遺伝子発現変化の自律性を、初代培養褐色脂肪細胞系を用いて検討したところ、組織と同様にPGAM5欠損によってUcp1が増加することが確認された。また、褐色脂肪細胞にPGAM5を過剰発現することによってUcp1の発現が減少することが確認された。このことから、PGAM5は褐色脂肪細胞においてUcp1の発現を抑制していることが示唆された。次に、PGAM5によって増加したUcp1が機能的であるかを、細胞の酸素消費速度を指標として評価したところ、アドレナリンβ3選択的作動薬処置依存的な酸素消費量が優位に増加していることがわかった。この結果から、PGAM5欠損型の褐色脂肪細胞ではエネルギーを消費する能力が高くなっていることが示唆された。次に、Ucp1の発現制御にPGAM5の機能が関与するかを検討した。脱リン酸化酵素活性を失った変異体と、膜内切断に耐性を示す変異体を用いて検討したところ、これらの変異体を過剰発現してもUcp1発現の抑制は観察されなかった。このことからPGAM5は脱リン酸化酵素活性と膜内切断という機能や特徴を介してUcp1遺伝子の発現を抑制していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初代培養褐色脂肪細胞系を用いることで、PGAM5欠損によってUcp1発現が増加し、酸素消費が増加することを明らかにした。また、ミトコンドリアに局在する脱リン酸化酵素が遺伝子発現制御を介して細胞全体のエネルギー消費能力を制御する可能性を示しており、当初の予定通り、順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果からPGAM5の脱リン酸化酵素活性と膜内切断を受けることが重要であることが示唆されていることから、これらの機能や特徴がどのようなメカニズムでUcp1の発現を抑制しているかを明らかにしていく。脱リン酸化酵素活性については、PGAM5の褐色脂肪組織内での結合分子探索や、網羅的遺伝子発現解析結果の解析から基質分子の同定を目指す。膜内切断については、全長型と切断型の細胞内局在などを検討することで、切断の意義の探索を行う。
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