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2018 年度 実績報告書

水中バーチャルリアリティ環境中における触覚フィードバックに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18J14963
研究機関東京大学

研究代表者

山下 聖悟  東京大学, 大学院学際情報学府, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2020-03-31
キーワードバーチャルリアリティ / 触覚 / フィードバック
研究実績の概要

本研究では、水中で構成されるバーチャルリアリティ(VR)環境にための触覚フィードバック手法について検証した。VRとは、コンピュータグラフィックスで作られた仮想的な世界の中に、本当にユーザが入り込んだような体験を提供することができる技術である。申請者はこれまでにVRによって水泳のエンターテイメント性やトレーニング効率を向上する研究を行ってきた。申請者が提案したプール型VR環境はユーザにサンゴ礁に囲まれた美しい海で泳いでいるような没入的な体験を提供することができる。
水中VRにおいても触覚が適切に再現できるようになれば、仮想的な世界のオブジェクトに実際に触れているかのような感覚を提供することができる。また、周辺を亀や魚などが泳いだ際の水流や、波など、水中特有の間隔を再現することが出来るようになる。地上において触覚を再現する技術として、収束超音波の照射や空気砲を応用したものがある。しかし、プール型VR環境のようにユーザが水中に存在する場合において、触覚を再現する方法は未だ技術的に確立されていない。本研究では、水流を発生させ水中のユーザーにフィードバックを与える方法について検証した。水流を適切に発生させるためには、どのような水流が発生しているのかリアルタイムに計測する必要がある。そのため、本研究では水中にプラスチック製の粒子を散布してUSBカメラでその動きを追跡した。また、周囲に投影された映像を可能な限り阻害せずに触覚フィードバックを提供するために、屈折率が非常に水に近いため水中でほぼ不可視になる素材についての調査等を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、触覚フィードバックを提供するために、水中に設置あるいは散布されるプラスチック製オブジェクトや粒子を用いる。これらは、周辺に映像が表示され水に満たされているような環境で用いられるため、周辺の映像を阻害しない、沈殿あるいは浮上せず水中に漂う、人への危険性が少ないなどの特徴を持つ必要がある。そのため、本研究では上記したような特性を持つ最適な素材について調査・検証を行った。周辺の映像を阻害しない素材として、屈折率が極めて水に近いフッ素樹脂や、吸水ポリマーが候補としてあげられた。本研究では、プラスチック製オブジェクトや粒子をカメラに計測するために偏光を用いている。偏光角の直行する偏光板の間に偏光面を回転あるいは偏光された光を無偏光状態にする特性を持つ物質が存在する場合、その物質のみが周囲に比べて明るく視認される。偏光面を回転する特性として複屈折や、旋光性があげられる。上気したプラスチック製オブジェクトや粒子に複屈折や旋光性の特性を持たすことができれば、カメラを用いた形状推測や位置計測が可能になる。本研究により、旋光性を持つ果糖などを吸水ポリマーに含ませることや、フッ素樹脂を引き延ばし複屈折の光学特性を持たせることが、これらの素材に偏光面を回転する能力を持たせるために有効であることがわかった。

今後の研究の推進方策

今後はすでに明らかになっている技術的課題を解決する。例えば、水中に散布された粒子がユーザーに接触するため本来は必要ない触覚を提示してしまう、オブジェクトや粒子の追跡を60fps程度の低フレームレートのカメラで行う場合精度が低下してしまうなどの問題点が明らかになった。本研究では、カメラが低フレームレートである場合に発生してしまうブレを取り除く手法やブレがある場合も精度が低下しない手法について検証する。また、本研究では、オブジェクトの形状の推測や3次元位置の取得に、偏光特性によって生じる明るさや色の変化を用いるため、予測した通りの複屈折をプラスチック製オブジェクトに生じさせる加工方法などについて検証する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 水泳体験を向上させる水中没入型バーチャルリアリティ環境: AquaCAVEの設計と実装2018

    • 著者名/発表者名
      山下 聖悟, 諏訪 俊一, 味八木 崇, 暦本 純一,
    • 雑誌名

      日本ソフトウェア科学会 コンピュータソフトウェア

      巻: 35 ページ: 52-63

    • DOI

      10.11309/jssst.35.2_52

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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