研究課題
本研究では、アブラナ科野菜であるコマツナやハクサイなどのBrassica rapa L.の白さび病抵抗性遺伝子を同定することを目的とした。本年度までに白さび病抵抗性品種Aの有する抵抗性遺伝子候補としてCC-NB-LRR型遺伝子を選抜していた。抵抗性品種と感受性品種における本遺伝子の発現をRT-PCRにより調べたところ、抵抗性品種でのみ発現が確認された。本遺伝子に作製したDNAマーカーを用いてQTL-seqに使用したF2集団の全個体の遺伝子型を調べたところ、白さび病抵抗性の表現型と遺伝子型は完全に一致した。そのため、本遺伝子を白さび病抵抗性遺伝子Brassica rapa white rust resistance 1(BraWRR1)とした。BraWRR1のDNAマーカーを用いて白さび病抵抗性を検定済みの市販品種84種類の遺伝子型を調べたところ、抵抗性品種26品種のうち3品種がBraWRR1の抵抗性アリルを有することを明らかにした。抵抗性品種にも関わらずBraWRR1の抵抗性アリルを持たない品種(品種Bなど)が複数見出されたことから、他の抵抗性遺伝子の存在が示唆された。次に抵抗性品種Bの有する抵抗性遺伝子を明らかにするため、品種Bと感受性品種を交配したF2集団を用いて接種試験とQTL-seqを実施した。その結果、BraWRR1座乗染色体とは異なる染色体において有意なQTLが検出された。本領域内から有力な抵抗性遺伝子候補を同定し、DNAマーカーを開発した。また、先行研究においてB. rapaの萎黄病抵抗性とサリチル酸(SA)応答の関連性が示唆されたことから(Miyaji et al. 2017)、萎黄病抵抗性品種と感受性品種におけるSA処理時のトランスクリプトーム解析により、SA応答遺伝子を網羅的に同定し、抵抗性品種と感受性品種ではSA応答が異なることを明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Cell Reports
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