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2020 年度 実績報告書

ローマ帝政前期における「権力と法」の研究:皇帝・元老院関係の検討を通じて

研究課題

研究課題/領域番号 18J20038
研究機関東京大学

研究代表者

逸見 祐太  東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2021-03-31
キーワードローマ帝政 / ユリウス=クラウディウス朝 / ティベリウス / ネロ / 皇帝・元老院関係 / 感謝祭決議 / 国家の安寧
研究実績の概要

本年度は、これまでの2年間の研究成果を踏まえ、それを補完するために、主にユリウス=クラウディウス朝期における反皇帝陰謀後の感謝祭決議に注目した。これまで感謝祭決議は、元老院による皇帝への単なる阿諛追従だと理解され、それ以上の政治的な意義を認められてこなかった。しかし感謝祭決議を一つ一つ分析していくことによって、特にティベリウス帝期とネロ帝期に、元老院がこうした決議を通じて、皇帝とどのような関係性を築こうとしていたのかが、徐々に見えてきたと思われる。
まず明らかになるのは、感謝祭決議が皇帝によって強制されていたわけではなく、むしろ元老院によって主体的に行われていたということである。そしてこうした主体的な決議は、当時の元老院が、皇帝に積極的に服従していたことを示唆している。さらにこのような積極的な服従は、社会秩序、つまり国家の安寧(Salus publica)を護るための手段であったと考えられるのである。
実際元老院が感謝祭決議を通じて、皇帝を称賛するとともに、彼に対して国家の安寧への配慮を要請していたことが、主に叙述史料・碑文史料から分かる。とりわけネロ帝期には、他の皇帝の治世と比較しても相対的に多くの感謝祭決議が確認できるが、それらの決議からは、皇帝と元老院の間で、国家の安寧をめぐるやり取りが継続的に交わされていたことが確かめられるのである。これは元老院にとって感謝祭決議が、皇帝とコミュニケーションを重ね、彼に国家の保護者としてふさわしい役割を果たすよう求め続けていくための、重要な手段の一つであったことを示している。
以上の分析結果を、本年度の史学会大会において報告した。現在は、その報告内容の論文化を進めている。また、感謝祭決議と関連するテーマである元老院裁判についても、次回の西洋古典学会の大会で研究発表を行う。そしてこれらの論文をもとに、博士論文の執筆にも取り掛かりたい。

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 神々への感謝から、皇帝に対する元老院の従属性を考えるーーガイウス・ピソの事例分析を中心にーー2020

    • 著者名/発表者名
      逸見祐太
    • 学会等名
      第118回史学会大会 西洋史部会

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公開日: 2021-12-27  

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