本年度は,窒化ガリウム(GaN)半導体のアバランシェ破壊特性の解明を目指し,衝突イオン化係数およびその温度依存性の測定に取り組んだ.p-n接合界面から主にp層側へ空乏層が拡がるGaN p-/n+接合ダイオードを作製し,基礎吸収端(~365nm)より短波長/長波長の光照射下における光誘起電流の測定・解析を行うことで,電子注入・正孔注入時のアバランシェ増倍係数を求めた.得られた増倍係数を解析することでGaNの電子・正孔の衝突イオン化係数を223-373K温度範囲で抽出することに成功した.得られた衝突イオン化係数を経験式を用いてモデル化し,得られた衝突イオン化係数の式(パラメータ)を用いてGaNの理想的な絶縁破壊特性をシミュレーションした.様々なドーピング密度のGaN p-n接合に対して絶縁破壊電圧をシミュレーションしたところ,過去に報告されているGaNパワーデバイスの絶縁破壊特性をよく再現した.得られた絶縁破壊電圧より絶縁破壊電界のドーピング密度依存性を経験式を用いてモデル化した.また,絶縁破壊特性の温度依存性,耐圧維持層の極性依存性,膜厚依存性についてもシミュレーションを行い,詳細に議論した.これらの結果は,J. Appl. Phys.に投稿・採択された.
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